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  • 第7日 9月24日平成24年第5回定例会
  • 当初議決した内容の重要な部分を変更するについて、委員協議会の説明だけで、議会の再議決を得ないで執行する事は無効と考えるが当局の見解を問う。
    • 3月補正で可決した「防災通信基盤整備事業」屋外拡声器の機材変更により、目的及び予算額は一致しているものの執行する内容が全く変更されている場合の再議決の必要性について
    • 3月議会で可決した「市有地の信託の変更について」議決時に9月末日までに売却を完了し、信託契約を終結させるとしていたものを、新たに事業計画を延長し、売却条件・売却方法を変更し、売却価額を当局が決定することについての再議決の必要性について
  • 議案の提出時期・議案の内容・議案説明のための情報開示が、議会において十分議論を尽くすのに適切かどうか疑問を感じる。当局は以下の点について議会への対応が十分であったかどうか見解を伺いたい。
    • 伊丹市立伊丹高等学校全定分離、ネオ伊丹売却議案について、それ以前に議会に議案を提出できたのではないかと指摘されている点
    • 防災通信基盤整備事業議案について、3月の補正議案ではなく、6月議会の議案提出でも良かったのではないかと指摘されている点
    • 地方自治体の予算執行は、市長の専決事項を除き全て議会の議決が執行以前に必要であるのは、地方自治法により定められている議会に議案として提出される以前から、議場外で一定の金額が特定される具体的な施策が当局より開示されている点
    • ネオ伊丹売却について、市有財産の売却としての議案を提出せず、信託契約の変更議案として提出した点
    • ネオ伊丹売却について行った入札につき、入札上位2社の入札希望価額及び入札者が希望した買取り条件を開示しない事、鑑定価額の算出方法について情報開示しない点
  • ネオ伊丹の売却価額と鑑定評価額・固定資産税額の関係について、また、今回の売却価額が今後、本市に与える影響について、当局の見解を問う

以下原文

議員 岩城敏之
ただいま議長より発言を許可をいただきましたので、通告書に基づき質問をさせていただきます。
 平成23年度一般会計補正予算防災通信基盤施設整備事業費1億5000万円が本年3月の第2回定例会で提案され、賛成多数で可決されました。本議案に対しては屋外拡声器を50カ所も設置するということから、本会派の佐藤議員が平成24年度も国の緊急防災・減災事業は維持し、予算として計上されるのであるから、設置場所について地域住民の声をよく聞き、政策の精査、検証をじっくり行った上で議案提案すべきではないかと質問し、また、代表質問においても加藤議員から防災・減災事業の優先順位でなぜ避難施設の耐震化ではなく、屋外拡声器が防災拠点に次いで緊急整備する必要があるのか、防災・減災ビジョンを市民に示しながら周辺都市や設置する場所の周辺住民の理解を得て整備費を予算化し、議会に上程されるのが本筋であるなどの指摘がなされました。結果、本会派としては賛成3、退出3ということになったわけであります。
 ところが、議決して1カ月もたたない4月19日に高性能スピーカーが発表されたとして屋外スピーカー50カ所の設置を取りやめ、市内7カ所の中学校校舎屋上にスピーカーを設置するということとし、その費用は平成23年度一般会計補正予算で可決された予算額と同一に抑えるので、そのまま予算を執行するとの説明が総務政策常任委員協議会で報告されました。
 そもそも議会で議決される予算とは、本来予算を執行すべき政策があり、政策実現のための個別施策が掲げられ、その施策目的を達成するための手法が検討された上で手法実行のための費用積算がなされ、予算額が決定されるものであります。したがって、今回のように予算額が同一であっても、その算出根拠となるべき内容や手法が全く異なったものとなれば議会の議決の効力は内容や手法が変わってしまったものには働かず、当然ながら議案内容の変更を再提案し、それを議会が再議決する必要があると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 次に、平成24年度議案第70号、市有地の信託の変更についてが本年3月の第2回定例会に提案され、賛成多数で可決されました。その後、売却のための入札手続に入ったものの結局売却には至らず、8月23日の総務政策常任委員協議会では信託事業計画を来年3月まで延長する旨の報告がされました。そして9月11日の総務政策常任委員協議会では、次回の売却方法は入札方式を取りやめ、1回目の入札時にネオ伊丹の買い取りに関心を示し、秘密保持契約を締結した希望者を対象とし、個別に売買について話を進め、売買契約を締結する。そして売買価格は消費税を含めて金9億1000万円とする旨の説明がなされたわけであります。
 そもそも議会の議決の効力は議案として提示された事項についてだけ効力が生じるものであります。今回の売却すべき時期、売却する方法を根本的に変更し、さらに言うならば買い主の資格条件すら変更しようとしています。また、今回、金9億1000万円という売却価格が9月11日になって初めて明らかになったものの、その算出根拠は不明確であります。したがって、3月議会で可決された議決内容と今回の当局が進めようとしている売却は全く異なったものであります。売却に関しては新たに議案提出が必要と考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 2番目に、議案提出の時期、提出される議案内容、議会説明のための情報開示について質問させていただきます。
 まず、議案の提出時期についてでありますが、昨年12月議会で提案された伊丹市立高等学校全定分離については、議案提出時期は9月でも可能であったのではないかとの指摘がありました。また、3月議会で提出された市有地の信託の変更については、もっと早い時期に議案提出できたのではないかとの指摘もありました。一方、3月議会で提出された補正議案防災通信基盤整備費については、もっと議案を整理し提出すべきで、あえて3月補正で提出する必要はないのではないかとの指摘がありました。さらに議会に議案が提案されていない地域提案制度については、制度に対する予算額が審議されていないにもかかわらず、予算化されているかのように金額がひとり歩きし、制度の仕組みづくりとあわせて検討がなされております。
 2つ目は、議案の内容についてでありますが、3月議会で提案された市有地の信託の変更については、信託契約の中に売却を加え、また売却を加えることによる信託会社の報酬を定めるものでありました。
 本来、当局が売却のみを推し進めるのであれば、市有地の売却についての議案を提案し、十分に議論すべきであり、信託契約変更の中で売却について議論をすべきではなかったと考えます。
 3つ目は、議会説明のための情報開示についてであります。
 具体的に言うならば、今回不調に終わったネオ伊丹の売却のための入札についてであります。総務政策常任委員協議会において、現地内覧会には13社が参加し、7月6日の開札時には8社が入札。うち2社が本市希望価格を上回ったため、2社を優先交渉権者として協議したものの協議が調わず、結局8月7日に入札の不調が確定したとの報告がありました。
 しかしながら、対象2社の入札価格協議が調わなかったと理由とされる入札者が希望した買い取り条件、入札した残り6社の入札価格は秘密とされ、鑑定価格の算出基準となる鑑定評価書については議会には見せられないという鑑定者の要望により提出されませんでした。さらに入札時に本市が希望した価格についても入札要項を作成時から最低売却価格として明示すべきとの指摘があったにもかかわらず記載されず、さらには入札不調を報告する8月23日の総務政策常任委員協議会で具体的金額の明示を求めたにもかかわらず、当局は答えることすらできませんでした。9月11日の総務政策常任委員協議会で初めて9億1000万円という価格が明示されたわけであります。
 以上のすべての件において、当局は議会が議案を審議、議論するのに十分な時間を考慮せず、また、判断するのに必要な情報を求めても開示しないという状況にあったわけです。そういった状況のもとで議会が議案を正しく審議することができるのか甚だ疑問であります。まして最初の質問でも申し上げましたとおり、議決した内容を当局が勝手に変更することは議会で議論されたこと自体が無駄となります。結果、議論、審議もされない事項が予算執行をされる危険性があります。
 我々議会は市民の皆様から預かった税金をどのような目的でどのように使うのか、その予算の執行に対して厳格に審議する義務があります。それが議会の市民の皆様に対する責任であり、議会の大きな役割の1つです。当局はそれを踏まえて議決事項に対しては議会に説明責任があるのは当然のことであり、議決に至るまでの過程には十分に議論を尽くせる時間を議会が持てるように考慮する必要があると考えます。
 我々議員は、それぞれが市民の負託を受けた存在です。当局が議会に説明責任を果たすことは市民の皆様に説明責任を果たすことと同様です。そして、議会は議決した事項に対して市民の負託を受けた存在として責任を持つ、それが議会制民主主義の根本であります。
 それで特に昨年12月以降の当局の姿勢について、議会への対応が十分であったと考えておられるのか、事務執行のトップ責任者である副市長の見解をお聞かせください。
 最後に、ネオ伊丹の売却価格、鑑定評価額、固定資産税額の関係について質問させていただきます。
 今回公表されているネオ伊丹の売却価格は、消費税込みで9億1000万円、鑑定評価額は8億9100万円、固定資産税額は土地が4億644万4405円、建物が9億1805万8700円となっております。
 さきの戸田議員の質問でもありましたように、まず本市は固定資産税の課税権者であり、課税金額は国の基準に従い本市が定めているわけであります。したがって、固定資産の価格は地方税法第388条の規定する固定資産評価基準の規定により、地価公示価格などの7割を目安として評定するものとされていることから、一般的に売買の指標となる価格は5億8063万4864円となり、鑑定評価とは関係なく、建物の評価額を加えた合計額14億9869万3564円が本市が保持し続けた場合の資産総額であり、これは本市自身が定めている資産価値でもあります。
 今回の総務政策常任委員協議会での説明によりますと、信託銀行に支払うべき信託報酬について、建物の価値なしでの売却価格9億1000万円として課税算出されております。民間での取引においては、しばしば消費税削減のための建物の売買価格を限りなくゼロに近づける場合はあります。しかしながら、本市はさきに述べましたとおり固定資産税の課税権者としてみずからの課税根拠を崩すような行為をしてはならず、また、今後の固定資産税の算出に影響を及ぼす取引をすべきでないと考えます。すなわち建物の売却価格9億1000万円から土地価格5億8063万4864円、資金取り崩し分247万8000円、信託報酬2727万8264円、消費税1426万7089円を差し引いた差額となる2億8534万1478円にすべきと考えます。
 次に、鑑定評価額は鑑定人によって幅が出てくるのが実務上一般的なことであります。市有財産の売却について信託銀行の鑑定人にだけ任すのではなく、本来、本市独自でも鑑定を出し、また固定資産税課税価格と比較検討すべきであり、それが説明責任であると思います。
 今回、当局から提示された売却価格9億1000万円は借り入れ残額8億7831万7000円に、信託報酬及び敷金取り崩し分を加えた9億722万9800円をベースに考えられております。消費税額の枠は277万200円しかないわけであります。
 さきに述べましたとおり、建物価格が2億8534万1478円である場合は消費税額は1426万7089円となります。すなわち借入金全額の返還が不可能ということであります。また、売却価格9億1000万円から敷金取り崩し分、消費税、信託報酬を差し引いた価格は鑑定評価額を下回ることから、市民財産から信託報酬を支払うということであります。形態は違うにせよ、一般財源からの繰り出しと変わらない状況であると考えます。
 そこで質問をさせていただきます。固定資産税課税権者である本市は民間と違い市有財産である土地建物の価格を総枠内で自由に設定し売却してよいということではないと考えます。ネオ伊丹の売却価格について、固定資産税課税権者として今回の土地建物の売却価格をどのように考えておられるのか、また、信託報酬を支払った場合、本市の受取額が鑑定評価額を下回ることについてどのように考えておられるのか、当局の見解をお聞かせください。また、今回の市有財産の売却が今後本市の不動産価格及び固定資産税額に対して与える影響について、当局の見解をお聞かせください。
 以上、1回目の質問を終わらせていただきます。
以上

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