議会質問一覧へ戻る
  • 第5日 6月19日平成24年第4回定例会
  • 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針(案)及び、この1年間の関西三空港に関連する民間資金の投資動向・公的資金の動向可能性を検討した上で、今後の大阪国際空港の将来動向について、市長の見解を問う
    • 今回の基本方針(案)が、将来の大阪国際空港にどのように影響してくると分析されているかどうか
    • 基本方針(案)・三空港をとりまく民間資金・公的資金の動向を検討した上で、今後、10年後、20年後の伊丹市の為にどのように対応・検討すべきと考えておられるのか
  • 11市協の今後のあり方についてどのように考えておられるのか、又、今後、新会社との交渉の為、11市協とは別の交渉組織設置の必要性についてどのように考えておられるのか、当局の見解を問う
  • 基本方針(案)で示された大阪国際空港に関連するアクセス交通について、今後の本市はどのように対応すべきと考えておられるのか、当局の見解を問う
  • 基本方針(案)が示された中、空港の活用について旅客型空港としての使用とは別の観点から、産業型空港の可能性について当局の見解を問う

以下原文

○16番(岩城敏之)(登壇) 議長より発言の許可をいただきましたので、通告書に基づき質問させていただきます。
 来月に経営統合を控える関西、大阪両空港の運営基本方針となる関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針の最終案が、先週14日に提示されました。基本方針では、中央リニア新幹線の開通など周辺状況の根本的な変化を見通し、大阪空港の廃港も含め、将来のあり方を今後検討するとの文言が明記されています。そのほか大阪空港に関する具体的事項としては、従来のプロペラ機枠を低騒音機枠に概念を改めることとし、今後、総発着回数370回の枠がフルに活用できる可能性は高くなったものの、国際線の就航については関西空港に限定することとされました。
 総体的に見て、大阪空港に関する事項については具体的事項が限定的で、将来の方向性が見えるものではありません。一方、関西空港に関する事項については具体的で、その方向性が明確であります。その掲げられている各事項は、既に実施されているか、または関連計画が続々と発表されています。
 例えば、着陸料や空港施設使用料などの設定を戦略的に行うことが発表され、LCC専用ターミナル、駐車場の建設が既に進められ、LCC専用の宿泊施設の建設も発表されました。また、米航空貨物大手のフェデックスが、北アジアなど北太平洋地区の物流拠点を関西空港に設けると発表。利用促進施策についても、クールジャパンフロント構想、先端治療を行う医療機関をりんくうタウンに集約し、治療目的の患者らを呼び込む国際医療交流拠点構想が掲げられ、昨年、泉佐野市は地域活性化総合特区の指定を受けました。
 さらに、基本方針案が検討、調整事項の対象としている大阪空港のターミナルビルは、来年夏をめどに新関空会社が買収すると報道されています。そのほか都心部と関西空港間のアクセス交通についても、この数カ月で続々と新計画が発表されています。
 そこで、質問させていただきます。今回コンセッションの売却については、期日を明記せず、できる限り速やかに実現するとの表現で先送りした感があります。現状、コンセッションへの明確な見通しは立ちにくいとの認識からだと考えます。
 国土交通省のコンセッション試算では、コンセッション価格を1兆3000億円とし、一括払いの場合と分割払いによる試算がなされております。その期間は30年間または45年間と想定し、4000億円の頭金で残額を45年の分割払いとした場合、年間1450億円程度の売り上げがあれば、4000億円に対して年5%の利回りを出すことができるというものであります。1450億円の売り上げは、関西空港の過去最高売上高の平成9年度1240億円と、伊丹空港の売上高約150億円を合算したものを参考にしております。現在の両空港の売上高合計額とは約350億円もの開きがあります。新関空会社として350億円の増収が急務の課題であり、増収貢献の可能性が低い伊丹空港より関西空港の増収に重点が置かれたものと考えます。
 したがって、今後、関西空港の増収が目標数値に達するまで、基本方針案は3年後に見直すとはされているものの、主要部分が大きく変更される可能性は少ないと考えます。
 そして、関西空港の増収構造が確立された段階では、大阪空港は経営規模で大きな差をあけられ、その後は関西空港が単独で大阪空港の収益分を確保できるかどうかの議論がされる可能性もあります。また、コンセッション期間が2045年を超える可能性が高いことを考えると、コンセッション契約から大阪空港が分離され、大阪空港の単独売却の可能性も選択肢として上がってくると私は分析しておりますが、市長の見解をお聞かせください。
 次に、これから数年の間については、今までどおり関西経済発展のため大阪空港存続、国際便の復活を主張する方法もいいかもしれません。確かに数年間は、現状より大阪空港は活性化すると思います。しかしながら、今後、国内航空需要が減少していくのは明らかなことであり、国際線は総枠370回が国内線でカバーできない場合、国際線でカバーできないかとの議論で、運用ではなく経営の議論であります。
 また、民間資金、公的資金が関西空港に集中的に投入される中、今後10年後20年後の伊丹市のことを考えた場合、今までのように空港存続、国際便の復活だけで、民間資金、公的資金を大阪空港に持ってこれるとは思いません。現実を見据え、将来起こり得ることはすべて想定し、さまざまな可能性の検討を始める時期が来たと考えています。特に既存民間資金は、今回示された2045年を待たずに本市から流出する可能性もあり、空港が活性化しても本市が活性化しなければ意味はありません。今から廃港も念頭に入れた対応、廃港に対する検討も進めるべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。
 次に、平成22年3月議会において私は、11市協について、発足時の目的と現在の目的が一部異なってきたことから加盟市間の温度差が出てきており、11市協は11市協として存続させ、11市協とは別の組織、例えば検討課題を同一とする加盟市間で協議する組織づくりが必要ではないかと提案させていただきました。
 本年3月、11市協はプロペラ枠について、プロペラ機に限定せず低騒音ジェット機の就航も含めることで合意しました。しかしながら、大阪市と川西市が細部で反対し、回答書には両市の意見を附帯したものとなりました。そして本年5月14日、基本方針案に大阪空港の廃港の文言があることが明らかになった際、廃港の文言削除を求める11市協要望書を提出する際、時間制限があったため、役員5市だけで要望書を作成し提出したことに対し、大阪市、吹田市が反発、11市協脱退の検討をしている旨を表明しました。結局、その後の11市協の事務担当者会議では両市の脱会は話題にならなかったようですが、11市協加盟市間の温度差が明確なのは明らかであります。この温度差が、この3年間受け身の姿勢を崩せず、周辺地域から大阪空港活用策の発信ができなかった原因だと考えます。
 今後交渉すべき当事者は、今までの国だけではなく、新関空会社も当事者になります。また、コンセッションの売却ができればコンセッション取得会社も当事者となるわけであります。現状のままで利害関係が生じる各当事者と、本当に交渉、話し合いをすることができるのか、11市協加盟市間の利害関係が鮮明になっていることを考えるならば、11市協は、国との航空政策、安全・環境対策などについて交渉する組織として存続させ、新関空会社、コンセッション取得会社と経営、税、環境対策などについて交渉する別組織を新たに設置すべきと考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 3つ目、両空港間のアクセス交通について、新関空会社は、乗り継ぎで両空港間で航空便を利用する乗客に限って、バス代を新関空会社で負担する計画を4月に発表しました。また、名神高速道路と阪神高速の湾岸線を結ぶ名神湾岸連絡線の建設の可能性も高くなってきております。両空港間の自動車によるアクセス交通の充実、強化が図られています。そして、基本方針の都心部と関西空港、大阪空港のアクセス交通を見るならば、関西空港については3月、国土交通省近畿運輸局が、なにわ筋線について梅田と関空を最速34分で結べるとの調査結果を公表し、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電気鉄道の4社は調査結果をもとに、なにわ筋線の事業化の検討に入りました。5月には大阪府総合本部の市営地下鉄改革に関するプロジェクトチームが、南で四つ橋線と南海を直結させ、北は阪急十三駅と西梅田駅をつなげる構想を発表しています。また、建設費の試算まではなされなかったものの、大阪市内から関西空港までのリニアが運行された場合の効果についての報告が、今月、国土交通省からなされました。
 一方、伊丹空港については、大阪空港を都心部から近距離にある都市型空港と位置づけながら、都心部とのアクセス交通については触れず、大阪都心部以外の地域からの長距離バス活用などについて検討するとしています。
 今回の基本方針案のアクセス交通について見るならば、起点、終点を関西空港とするアクセス交通の形成であって、大阪空港は関西空港利用客を集客するための通過点、ワンストップ施設として、以前のOCAT的位置づけに置かれていると考えます。
 そこで、質問させていただきます。私は、平成22年、JR伊丹駅と大阪空港間のシャトルバスについて、当時のインターン生とともに全104便について調査した結果をもとに、利用者はシャトル便への関心は薄く、定期的、安定的便数に対して関心度が高いなど、何点かの報告、提言をさせていただきました。あわせてJR伊丹駅、阪急伊丹駅と空港間のバス路線は、シャトル便といった政策路線と一般市バス路線が併存し、あわせて神津地域活性化という3つの役割を持っているが、シャトル便については政策路線だからといって赤字を出し続けるわけにはいかないとも申し上げました。基本方針が出た今、採算面からJR伊丹駅、阪急伊丹駅と空港間の全路線を根本的に検討し、特にシャトル便のあり方について考えるべき時期だと考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 最後に、私は、平成21年3月議会において、伊丹を初めとする内陸地域は産業側面から見ればこのままでは空洞化する危険性がないとは言えず、平成20年度にスタートした国産旅客機MRJのプロジェクトに関連し、航空機に関連する産業の誘致が検討できないかと申し上げました。また、橋下知事の発言に対し、当初、各方面は単なるパフォーマンスとの声が出ているが、一方では多くの成果を生み出そうともしており、今後、伊丹空港を活用するための声を全国に発信する必要があるのではないかとも申し上げました。
 翌年の平成22年3月議会では、本来ならば平成21年から22年にかけて空港周辺地域は橋下知事とは違った別の空港活用案を出すべきであったと述べ、大阪空港はMRJの基幹空港ともなり得る要素を持っており、今後新たな展開が生まれる可能性があるとも申し上げました。
 そして22年6月議会では、今後、日本の産業構造は一般消費財輸出型産業から鉄道、下水道、原子力発電などといったインフラ産業輸出型への転換が必要とされ、高度技術集積産業である国産小型旅客機産業を初めとした航空機産業も今後国の重要な産業施策となる可能性は高く、国産小型旅客機MRJのプロジェクトがスタートしている今、小型旅客機の拠点空港となる可能性を備えている伊丹空港が旅客型空港から産業併存型空港へ転換できる可能性も十分にあるのではないかと申し上げました。
 今回の基本方針案によって、関西空港は今後、貨物空港としてのハブ化や非航空事業の収益の拡大といった旅客事業以外の収益を確実に上げてくると考えます。大阪空港も単なる旅客事業だけに固執するのではなく、飛行場として存続させる産業併存型空港への転換の可能性も模索すべきときであると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 以上、1回目の質問を終わらせていただきます。

市長 藤原保幸
私から、空港に関するお尋ねにお答え申し上げます。
 来る7月1日、目前となってまいりましたが、いよいよ経営統合が控えております。そして国土交通省は、経営統合に基づく基本方針の案を、去る6月14日に新関空会社が設置しております運営協議会に示されました。そして、その場で出た意見を勘案して、6月中に国土交通大臣が基本方針を正式決定するという段取りになっているところでございます。
 これを踏まえまして、7月以降、7月にはとお聞きしておりますけれども、新関空会社が経営戦略を策定し、安全・環境対策の実施や事業価値を高めてコンセッションでの事業運営権の売却を目指して伊丹空港を運営するということになっております。
 私、今後の伊丹空港の運営に当たるこの新会社の考え方、非常に気になっておりましたので、過日、新関空会社の安藤社長に直接お会いいたしまして、そのお考えを確認してまいりました。安藤社長おっしゃいますのは、基本方針が国のほうで決まれば、それを踏まえて地元で要望している安全・環境対策には万全を期しつつ、一方で伊丹空港をできるだけ有効活用して、コンセッションに向け事業価値を高めていきたいといったようなことをおっしゃっておられました。
 そして今回、国土交通省から示されました基本方針の案におきましては、11市協としてこれまで要望してまいりました安全・環境対策を適正に実施するということ、それに加えて活用面といたしましては、発着枠の柔軟な運用、具体的にはプロペラ枠を低騒音機材枠とすること、そして長距離便の規制緩和について、これらについて一部慎重論もあったわけでありますけれども、結論的には実現したところでございまして、私はこれを高く評価しているところでございます。
 しかしながら、一方で、岩城議員も御指摘ありましたように、国際チャーター便の規制緩和が反映されず現行どおりということになりました。そしてまた、廃港を含め将来のあり方を今後検討するといった、私、正直申し上げて想定していなかった文章が書き込まれたということは、率直に申し上げて残念だなと考えておるところでございます。
 ただ、一方、実現した中で特に長距離便の規制緩和につきましては、昨年、北海道や沖縄県、鹿児島県の市町長と直接、国土交通大臣に会いまして共同要望してきたところでありますけれども、こうした活動が実を結んだものと各首長さんにも感謝しておるところでございます。
 そして、プロペラ枠を廃止して低騒音機材枠といたしまして低騒音ジェットによる活用が盛り込まれましたことは、この点につきましては民間航空会社もかねてより希望されていたところでありまして、具体的な伊丹空港の利用拡大策として大きな一歩と考えているところでございます。現在、お尋ねいたしますと、航空会社におかれましては、この伊丹空港の発着枠を有効活用して低騒音ジェット機を導入いたしまして、認められておりませんでした長距離路線などの増便を検討しておるということでございます。
 私といたしましては、夏休みはちょっと無理といたしましても、早ければこの秋冬ダイヤから一部実現するのではないかと期待しておるところでございます。これが実現いたしますと市民の皆様方、北海道、沖縄方面に非常に行きやすくなる、また、あちらからも来ていただきやすくなるということでございます。
 こうした規制緩和につきましては、これまでの伊丹空港につきましては、関空を最重要視するという国の方針から、伊丹空港につきましてはむしろ規制強化されてきたこの数年間でございます。そうした規制強化の方針から活用に向けての規制緩和という大きな転換でありまして、これからの本市の活性化、関西全体の活性化に寄与してもらえるのではないかと期待しておるところでございます。
 議員から、伊丹空港の単独の売却の可能性も選択として上がっていくのではないかと分析されているとお聞きいたしました。私も、伊丹空港の廃港を主張されている方々に直接確認させてもらっておりますけども、おっしゃっておられますのは、やっぱり東京、大阪がリニア新幹線で結ばれた30数年先のことでございます。そして現実、廃港いたすとすれば30数年先ということになるわけでありまして、当面、国土交通省、先ほど申し上げました新関空会社の社長さんからは、これからはまさに経営統合して両空港の事業価値を高めていこう、そしてコンセッションで事業の運営権を売却しようといったようなところが最優先というふうに考えているとお聞きしておるところであります。
 したがいまして、単独で売却の可能性、その先の将来については、ないと断言することはできませんけれども、ここ10年20年の間には考えにくいのかなと私は考えておるところでございます。私といたしましては、コンセッションに向けての新会社の動き、安藤社長がどのように経営手腕を発揮されるのかということになりますけれども、その動きと、実際に伊丹空港がどう使われていくのか、関空がどう使われていくのかといったような経営統合後の状況を注視しながら、国の説明によりますれば、今回決めようとされてます基本方針は適時適切に見直していく、具体的には3年後を目途として基本方針の見直しを検討するといったようなことを聞いておるところでありまして、今後、3年後の基本方針の見直しに向けまして、伊丹空港の事業価値を高めるために何をすべきか、こうしたことにつきましても議員各位の御意見も承りながら考えてまいりたい、行動してまいりたいと思っております。
 確かに今後10年20年先を見通しますと、日本全体の人口はさらに減少してまいります。そして生産年齢人口も減少し、一方で高速道路や鉄道網が充実し、IT化が進展すると。航空需要にとりましてはマイナス要因も確かにあるかなと私も思います。
 一方、LCC、ローコストキャリアの進出でありますとか東アジア諸国の発展は、航空需要にとりましては大きなプラス要因ではあろうと思っております。私自身、今後特に東アジアの活力をこの関西圏に取り込むことが特に重要になっていくのではないかと考えているところでございます。今後考えておりますのは、決して私一人だけということではありませんで、今回の基本方針案、国土交通省で検討されました基本方針案におきましても、その一部にLCCの就航や利用者ニーズに即した航空ネットワークの充実により、さらなる潜在需要を掘り起こす余地はあり、これら航空需要の拡大による今後の関西経済の活性化が期待されると書かれておるところでございます。
 御案内のとおり、伊丹空港は都心から利便性は極めて高いということもありまして、市民の皆様初め多くの各方面から、近距離国際路線の就航は認めていいのではないかといったような御意見をお聞きしております。こうしたことから、私といたしましては、安全・環境対策には万全を期すことが前提でありますけれども、伊丹空港の国際チャーター規制は緩和すべきであり、さらに踏み込んで申し上げれば、将来的には、周辺の皆様方の御理解が得られればという前提でありますけれども、定期国際便の就航もあり得るのではないかと考えておるところでもございます。
 また昨年、我が国は、御案内のとおり東日本大震災がありました。この悲惨な津波を含めた災害を教訓といたしまして、大規模な自然災害等に備えるということが重要であろうと。そして、伊丹空港は利便性にすぐれた内陸部の安定した都市型空港でありますから、そうした危機管理という観点からもその重要性は増してきているのではないかと考えているところでございます。
 経営統合を機に、関空、伊丹空港、それぞれの得意とするもの、ポテンシャルを最大限発揮できるように、民間の柔軟な発想と経営判断によりまして伊丹空港を有効活用していくことが、伊丹市の発展と活性化、そして関西全体、日本全体の活性化に寄与するものと私はかたく信じておるところでございます。
 この成熟した低成長の社会情勢では、大規模な投資は期待できないというのはそのとおりだと思います。私としましては、だからこそ過去の経緯にいつまでもとらわれて廃港を検討するということについて2つに大きく分かれるということではなくて、関西全体が未来志向の立場に立って、いかに存在する現存する空港を有効活用するのか、また今後、神戸空港も含めました関西3空港をどのように有効利用して関西の成長、日本全体の成長につなげるのかということを考えるべき時期ではないでしょうか。この点につきましては兵庫県の井戸知事も同趣旨の主張をなされておりまして、先般の協議会の席上もそういったことを言っていただいているところでございます。
 今後とも伊丹空港の安全環境の確保と一層の有効活用に向けて兵庫県や11市協の加盟市と連携いたしまして、私は適時適切に主張を提案してまいりたいと考えておりますので、議員の皆様方、市民の皆様方の御支援、御協力をお願いするところでございます。
 他の御質問につきましては担当部長より答弁申し上げますので、よろしくお願いいたします。

総合政策部長 阪上聡樹
私から、空港に関する数点の御質問にお答えいたします。
 まず、11市協の今後のあり方についてどう考えているのか、また、今後、新会社との交渉のため11市協とは別の交渉組織を設置する必要性についてどう考えているのかについてお答えいたします。
 今回の経営統合におきましても、11市協がこれまで取り組んでまいりました歴史的経緯及び理念を尊重し、存続協定の趣旨にのっとり安全・環境対策を講じることなどを11市協として取りまとめ、国と確認書を交わしたところでございます。議員御指摘の、これまでも国の動きや経済情勢などによりさまざまな意見がありましたけれども、最終的には11市で合意に達し、運動方針や要望活動を行ってきたところでございます。
 このように、安全・環境対策を最優先することを前提とし、今日まで11市として意見をまとめる運動方針はもちろん、運用について国と協議し、要望活動してまいりましたので、今後もこれまで同様、引き続き活動してまいりたいと考えております。
 また、11市協とは別の交渉組織設置の必要性についてでありますが、国や新関空会社において平成2年の存続協定を遵守することから、確認書に基づく協議の場として考えるものは11市協でございまして、これまで同様11市協として活動することが必要であると認識しておりまして、別の交渉組織設置は考えておらないということでございます。
 一方、空港所在3市のみに関係する固定資産の評価などの課題に対しましては、大阪国際空港課税連絡協議会を設立し、国と協議を行うなど課題の解決に向けた活動を行っております。また、11市協の下部組織として、7市で構成する大阪国際空港活性化連絡協議会が設置されておりまして、大阪国際空港の活性化に向けた取り組みを行っているところでもございます。
 今後もこれまでどおり11市協としてまとまり、国土交通省、新関西国際空港株式会社と協議、要望活動を行ってまいりたいと考えております。
 次に、シャトル便についての継続はするものの、そのあり方について、採算面から抜本的に検討すべき時期ではないかとの御質問についてお答えいたします。
 御承知のように、レールアクセス実現までの当面の対応策といたしまして、平成16年度からJR伊丹駅から直行便を導入し、市バスを活用した空港へのアクセスを実施しておりますが、議員御指摘のとおり、営業収益が営業費用を下回る、いわゆる赤字路線となっているところでございます。直行便の利用者数は伸び悩んでいるものの、一般市バス路線利用者は、若干ではございますが増加傾向にございます。
 こうした状況を踏まえ、今後、兵庫県におきましては、交通局とも連携しながら利用者ニーズに合った路線のあり方や利便性向上につながる方策の検討を行うため、市バス利用者の実態調査を行う予定と聞いております。
 これまでも、市バスによるアクセスの利用促進を図るため、兵庫県と連携しながらラッピングバスの導入、JR宝塚線や阪急神戸線の主要駅でのPRポスターや車内ステッカーの掲示などなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。しかしながら、モノレールや空港リムジンバスといった大阪方面からのアクセスに比べ、兵庫県側からのアクセスはまだまだ周知されていないのが現状でございます。
 これまでは関西国際空港と大阪国際空港は別の運営であったものが、経営統合によりまして一体運営となります。両空港の有効な活用に向けての広域的な連携の重要性を考えますと、大阪国際空港の事業価値を高めるためにも、今後ますます空港アクセスの重要性は増すものと考えております。今年度も引き続き、鉄道事業者と連携したPR策の検討や新たな案内表示板の設置、インターネット経路検索に市バスを含めた表示を行うなど、さらなるPRを行い、一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、単なる空港運営事業にだけ重点を置くのではなく、飛行場として存続させる産業併存型空港への転換可能性を模索すべきときであるとの御質問にお答えいたします。
 現在、本市において昨年度からスタートしております第5次総合計画におきまして、空港を活用した活性化への取り組みといたしまして、空港の持つ交通結節点と交流拠点としての機能を生かし、周辺の都市基盤を活用することとあわせて魅力ある施設や企業を誘致して産業の振興を図るなど、地域の活性化に努めることといたしております。
 また、平成23年度から実施いたしております伊丹市産業振興ビジョン、アクション・プログラムの中では、大阪国際空港の観光面での活用として、プログラムの22番目に大阪国際空港を活用した情報発信を掲げ、阪神北地域ツーリズム振興協議会事業の一環で空港インフォメーション事業を実施し、伊丹市の魅力をアピールいたしたところでございます。
 また、プログラムの29番目には、空港関連産業の誘致・参入支援等による調査研究を掲げておりまして、昨年度は兵庫県ツーリズム協会によるオウンユースチャーター便の中国就航や、兵庫県阪神北県民局、商工会議所と連携して、航空機部品メーカーを市内中小企業に紹介するなど、航空機産業への参入を促進してきたところでございます。
 しかしながら、市内中小企業は航空機部品の製造へ新たな参入には消極的であったことから、今年度は参入に積極的な中小企業の経営者を招いた研修会の実施を予定いたしております。
 大阪国際空港は本市の貴重な地域資源として、交通の利便性のみならず、その付加価値や経済効果などポテンシャルが高いことをアピールしていくことが、企業誘致などの戦略としてとても大切であると考えております。その上で、空港周辺市が協力して企業誘致に向けた環境を整え、広く発信していくとともに、空港周辺市などが連携して本空港の産業面での活用や企業誘致、企業間連携などの取り組みを模索してまいりたいと考えております。
 この考え方の基本となるのが旅客型空港としての利便性でございまして、市内の企業からは東アジアの近距離国際線の就航を求める声もございまして、引き続き国際チャーター便規制の緩和への働きかけをしてまいりたいと考えております。また、将来的に周辺の皆様の理解が得られれば、安全・環境対策には万全を期すことを前提に、近距離国際線の定期的な就航を働きかけ、さらにビジネスや観光の利便性向上に努めてまいりますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。

議員 岩城敏之
御答弁いただきました。2回目は質問と要望とさせていただきます。
 総体的には、現在のやり方、考え方を変えることはなく、廃港は検討事項の一つにも入れないということでした。そのほか11市協、シャトル便についても、今までどおりのやり方で進めるとの御答弁をいただきました。
 まず、誤解がないように申し上げておきますが、私は廃港を求めているわけではなく、基本方針案に廃港という文言が記載された以上、30年後のことだからといって放置しておくのではなく、10年後20年後のことを考えた場合、本市としても廃港も念頭に入れた対応、検討を今から進めるべきではないかと申し上げたわけであります。
 民の発想は収益を中心に考え、公の発想はバランスを中心に考えます。1回目の質問でも申し上げましたとおり、今回の基本方針案は民の発想が公の発想を上回り、今後さらに民の発想を中心に格段のスピードで変化していくことが予想されます。
 今から3年前の平成21年3月議会において私は、本市のスタンスに関係なく、今後、大阪空港の民営化問題が上がってくる可能性があると申し上げました。また、まちづくりを考える中で本当に空港を生かし切れているのか、空港を活用するための努力をしてきたのか、空港の存続を維持することだけに力を傾けているのではないかと申し上げ、今後、利便性の優位がいつまでも保たれる保証はありませんと申し上げました。
 そして翌年の平成22年3月議会では、再度、伊丹空港の民営化については本市にとって非常に大きな問題があり、短期間で対応できる問題ではなく、したがって、容認できるできないに関係なく早急に検討の準備に入り、万一に備え、事前の対応策を考えていくべき時期に入っているのではないかとも申し上げました。
 そしてその3カ月後、国100%出資であるものの、大阪空港と関西空港の統合が発表され、2年後の今、基本方針案が出され、来月より新関空会社の経営が始まり、コンセッションの実施により完全民営化となります。
 3年前の私の質問に対し市長は、現在のところ私自身、具体的にそうした民営化について議論、提案を聞いたこともなく、具体的にそうした民営化のことを想定しているわけでもないとの御答弁をいただきました。3年前に市長が想定していなかったことが来月現実となり、実施されていくのであります。
 私自身、議員となる以前から現在まで、大阪空港の活性化を訴えてまいりました。しかしながら、基本方針案に廃港の文言が入った以上、大阪空港について冷静に分析し、10年後20年後を考えるときだと思っております。
 平成21年3月議会でも申し上げましたとおり、大阪空港は数少ない黒字空港であるものの、そもそも黒字額は関空の有利子負債の利息分すら全額補てんできるものではないわけであります。また、総枠370回、そして運用時間が決められており、現在のプロペラ枠で使用されている枠を使用する以外に増収は望めず、将来の増収の可能性は非常に小さなわけであります。
 一方、関西空港は、有利子負債の返済がなければ大阪空港を大きく上回る黒字であり、収益拡大の可能性も大きいわけであります。さらに関西経済界について見るならば、大勢が関西空港支援派であり、現在最も大きな課題は、リニアの名古屋までの開通時期と大阪までの開通時期との差をどれだけ縮められるかであります。
 また、長距離便、国際便はあくまでも総枠370回の中の利用の話であって、活性化の話ではなく、経営の話であります。そのほか、空港の存在によって本市が空港より得ている税収のうち燃料譲与税について、2年前の税率引き下げの際、藤原市長の素早い対応で、税率は下がったものの、国のシェアを落とすことによって地方への配分額は下がりませんでした。しかしながら、今後、機材の小型化、省エネ化によって燃料使用そのものが減少していく可能性は高く、産業界からの要望により今後さらに税率が引き下げられる可能性もあります。
 また、飛行機の償却資産税についても、償却資産税自体がそもそも日本独自の税制であって、産業界から基本的には廃止の要望が常に出されております。今後、各税収確保が保障されているわけではないのであります。
 1回目の質問でも申し上げましたとおり、この数年間については、大阪空港は総枠370回の範囲で活性化するのは明らかであります。また、3年後のコンセッションでの事業運営権の売却に積極的な新関空会社の安藤社長は、大阪空港の活性化を推し進められることだと思います。しかしながら、1回目の質問でも申し上げましたとおり、基本方針案ではコンセッションの時期が明記されず、国の試算年数と基本方針案の2045年とは時期的にも相違があることから、今後コンセッションの売却自体を見直す可能性もあり、別の手法が検討される可能性がないとも言えません。仮にこの数年で関西空港の事業価値が上がり、コンセッションでの事業運営権の売却が可能になったとしても、その段階では大阪空港の収益を維持すべきか、売却によってコンセッションの売却価格を下げるべきかの議論が行われる可能性もないとは言えないということであります。
 そこで、2回目の質問をさせていただきます。廃港を検討事項の一つにも入れないのであれば、3年後の見直し時期において廃港という文言を削除できる確信を持っておられるのか、また、それが無理であるならば、いつごろどのような状況になったときに文言が削除されると考えておられるのか。以上、2点についてお聞きいたします。
 次に、市バスのシャトル便についてでありますが、機材が小型化し、座席供給個数が減少し、総枠370回が確保されても利用者数は減少する可能性があります。さらに、レールアクセス、LRTについては既にその採算性が難しいと報告されています。今回の基本方針案でも具体的に記載されませんでした。シャトル便について検討しないのであれば、レールアクセスの実現はどのような状況になれば可能と考えておられるのか。そして、それを可能にするために本市はシャトル便以外に何をしなければならないのか。また、当面の間とはいつまでなのか。今後どれだけの市税を投入し実現されようと考えているのか。以上、4点についてお聞かせください。
 続いて、要望とさせていただきます。11市協が、国、民間という利害関係の異なる各当事者に十分に対応していけるのか、変化に対してスピード感を持って対応していけるのか、疑問を持っています。いま一度検討していただくことを強く要望いたします。
 産業併存型空港については、御答弁いただきましたような、ちっちゃなことを言っているわけではございません。大阪空港が民営化され収益性から検討されると、大阪空港は旅客収益だけでは関西空港に対応できず、大阪空港の付加価値を上げる必要があり、地域エゴとも言われている空港を国策上の空港に上げていく必要性から提案し続けてまいりました。今回の経営統合基本方針案は、政治の中で動いてきました。いま一度、大阪空港巻き返しのためにも大阪空港活用案を発信していただくことを要望いたします。
 最後に、最近、不作為の責任が問われ、タイミングを逃したことでの損害が問われる時代に入りました。昨年来より想定外という言葉が使われていますが、今回、私は質問し、答弁をいただきました。今後、本質問事項については想定外とは言えないということを申し上げ、2回目の質問を終わらせていただきます。

市長 藤原保幸
空港に関します再度のお尋ねにお答え申し上げます。
 廃港のお話でありますけれども、去る5月23日に私、上京いたしまして、大臣初め国交省の幹部の皆さん方に直接お会いしまして、廃港云々の規定の削除を求めました際に大臣おっしゃいましたのは、伊丹市長の言うことは一定理解できると。ただ、廃港を強く主張されている方もいらっしゃると。そういうことをおっしゃった上で、今後、伊丹廃港論というのは、7月1日以降、新関空会社が関空、伊丹空港の経営の実績を上げていくことができれば解決するんじゃないかと、発展しているものをやめさせることはできないでしょうといったような発言もあったところでございます。そして、これから来月7月1日から経営統合されまして新関空会社が両空港を一体的に管理運営していくことになりますので、伊丹空港は安全・環境対策に万全を期すことを前提として、発着枠の有効活用と長距離便の増便により、現状より明らかに活性化に向けて変わっていくものと考えているところでございます。
 一方、関空でありますけれども、最近、新聞紙上にも報道されてますように、LCCの就航でありますとか国際貨物便の増便を背景に投資が進み、ますます活用されています。この夏のダイヤでも増便され好調を示しているところでありまして、私はこれは非常に結構なことではないかと受けとめているところでございます。
 現時点で関空のために伊丹を廃港しろとおっしゃいますのは、関空の利用が伸びないのは伊丹空港がその原因ではないかと考えておられる方々がいらっしゃるので、伊丹廃港ということを強くおっしゃり、大臣もその影響を受けておられるということもありまして、今後、関空が発展し実績を積み重ねていけば、そうした方々の意識も変わり、関空全体の航空需要の拡大に向けまして、関空も伊丹もともに有効活用すべきと考えていただけるのではないかと私は期待しておるところでございます。
 まずは、この経営統合を機に両空港が十分活用されまして実績を積むことが大切であろうかと、そして3年後、国交省は基本方針を見直すとおっしゃってるわけでありますので、その際に国際チャーター規制が緩和されること、そして、できれば廃港の文字も削除していただくのはありがたいと思いますので、それを目指して国交省や新関空会社など関係方面等に適時適切に働きかけてまいりたい。絶対に自信があるかというと、これはやってみなければわからない世界かなと思っております。それまでに新関空会社が両空港をどのように発展させているのかということが大きく影響してこようかと思います。
 それからなお、議員の発言の中で、3年前、私が今回の経営統合を想定していなかったことが現実になるとおっしゃいまして、私、そうだったかなと思いまして議事録を調べてまいりました。岩城議員からお尋ねあったのは、きょうも先ほどお尋ねいただきましたが、伊丹空港単独で民営化される可能性はどう考えるんだというお尋ねでありましたので、先ほど申し上げたように、私はそういうお話聞いたことありませんし、現時点では想定してないということを申し上げたわけでありまして、私、これまで国鉄の民営化でありますとかNTTの民営化でありますとか、御存じでしょうが、成田空港も最初国がやって公団がスタートしたわけであります。今は会社になっておるということで、そうした会社を活用したインフラの運営整備といいますのは、これから世界の潮流、日本も大きな流れではそういう方向にあるというふうに理解しておりますので、御理解賜りたいと思います。

総合政策部長 阪上聡樹
レールアクセス実現について、4点の御質問にお答えいたします。
 1点目の、レールアクセス実現はどのような状況になればということでございますが、議員御指摘のとおり、大変実現に対しては多くの難題を抱えていると認識いたしております。今後、大阪空港の事業価値を高めるためにも空港アクセスのあり方が問い直される状況を経る必要があると考えておるところでもございますので、御理解いただきたいと思います。
 2点目の、可能性に対して市は何をするのかということでございますが、今後は、新関空会社とJR伊丹駅や阪急伊丹駅からの民間シャトルバスの導入等についても協議を行うことによりまして、基本方針案に示されている大阪都心部以外からの地域からのアクセスのあり方の一つとして検討いただきたいと、そういうふうに努めてまいりたいと思います。
 3点目、当分の間とはいつか、おおむね基本方針案を見直す3年、あるいは総合計画前期事業実施5カ年計画の5年ということを目途に、新会社と交渉してまいりたいと考えております。
 4点目の、どれだけの市税を投入するかということにつきましても、こうした新会社との協議等を経る中でいろんな利用促進策などを模索する中で、可能な限り支出の抑制に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。

議員 岩城敏之
時間がございませんので自席から申し上げます。
 本来ならば、だれも廃港について検討したくはありません。ゼロか100かの話ではなく、ゼロを考えなければゼロと100の間は考えられないということであります。
 以上、質問を終わらせていただきます。
以上

議会質問一覧へ戻る