議会質問一覧へ戻る
  • 第6日 3月 6日平成24年第2回定例会
  • 本市の経常収支比率は、決算ベースで平成20年度1801市町村中ワースト139位、平成21年度1751市町村中ワースト71位、平成22年度、一過性の特殊要因がなければ、1751市町村中5位であり、本年度予算ベースで43位であることを考えると、ワースト40位以内に入る危険性が高いと考える。そこで、経常収支比率改善の為、徴収率のアップ・経費削減といった事以外に、中・長期的政策が必要であると考えるが、市長はどのような政策を打ち出していくことが必要であると考えておられるのか
  • 議案第70号「市有地の信託の変更について」が提案されたが、平成元年の契約当初、本信託事業は、目的を「市の責任と負担の下で、外部から企業を誘致するなどして、産業の振興・維持という政策課題の拠点とし、政策課題の解決の為に活用する」とされていたが、今回の信託財産の処分を提案するまでに、なぜ、当初の目的であった産業振興・維持・雇用確保の為の施策を打ち出されなかったのか、市長の見解をお聞かせ下さい。
  • 今回、信託財産について調査した所、3つの事項を確認することが出来たので、各事項の確認とそれに関係する事柄について質問致します。
    • 1つ目
      • 平成15年段階において、既に本市は大規模修繕の一部を信託期間内に実施できなくなる可能性について認識していたという事で理解してよいか。
      • 平成15年当時の信託銀行と本市とのやりとりで、本市は信託会社に対して責任を問わないとしており、個別の賃貸借契約の締結・内容変更、信託配当等の最終決定は本市の責任の下で行われていたと理解してよいか。
      • 平成15年段階において、本市は既に信託不動産の売却処分について可能性があると認識されていたのかどうか
    • 1つ目
      平成15年当時、信託銀行と本市との間でなされた伺い及び承認について
      • 平成15年段階において、既に本市は大規模修繕の一部を信託期間内に実施できなくなる可能性について認識していたという事で理解してよいか。
      • 平成15年当時の信託銀行と本市とのやりとりで、本市は信託会社に対して責任を問わないとしており、個別の賃貸借契約の締結・内容変更、信託配当等の最終決定は本市の責任の下で行われていたと理解してよいか。
      • 平成15年段階において、本市は既に信託不動産の売却処分について可能性があると認識されていたのかどうか
    • 2つ目
      平成17年当時、信託銀行と本市との間でなされた、伺い及び指示について
      • 平成17年段階において、信託期間満了以前に今後発生する可能性のある債務費用の支払いに対して信託財産内の内部留保が不足する危険性を承認していたと理解してよいか
      • 信託銀行に対し、平成16年度・平成17年度の信託配当1500万円を指示された事は適切であったと考えておられるのかどうか
    • 3つ目
      空室部分の借り主が見つからないとの説明を受けているが、昨年10月より賃借の申込があるにも係わらず、本市が賃貸を断っているという事項について
      • 上記事項は、本市の指示で行なわれたものなのか、又、上記事項について、信託銀行と本市の間で、伺い・指示といった文書のやり取りが交わされているのかどうか
      • 売却するかしないかに係わらず、賃借の申し込みを断り続けたことは、既に本市に対し損害を生じさせ、又、申し込み人に対し、事業計画の変更という損害を与えているという認識を持っているのかどうか
      • 当局、日程では、5月入札、8月売買契約締結、9月信託終了だが、であるならば、6月議会時には、買主と売買価額が既に確定していることになる。長年の間、議会に対する説明内容が、大きく調査した事項と相違している。今回、議会に対し、議論・検討をする時間を与えないまま、売却を進められているが、ネオ伊丹ビルは、市民の財産を市が預かり、それを守り運用するという、公の事業であり、不動産を業とする事業者の不動産運用事業ではなく、公務員の責任に関することと考えるが当局はこのことについてどのように考えておられるのか

以下原文

議員 岩城敏之
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告書に基づき質問させていただきます。
 平成24年度当初予算における財政指標のうち実質公債費比率及び将来負担比率を見るならば財政状況は厳しくとも借金の返済額は無理のない範囲であり、将来的に生じる負担の備えにも十分取り組んでいるかのように思えます。
 しかしながら、これら2つの指標が一見健全に見えるのは、分母、分子から同額の元利償還に係る交付税措置が差し引かれているからであり、いわば財政運営における財政的テクニックがすぐれているという話であって、本来この2つの指標よりも本市にとって最も注意を必要とするのは経常収支比率であり、この経常収支比率の悪化に対して本市では早急に対策を考えていかないといけないのであります。
 過去3年間の決算ベースでの経常収支比率を見るならば平成20年度97.9%、平成21年度98.7%、平成22年度88.3%となっており、平成22年度は改善したかのように見えます。
 しかしながら、これは一過性の増収があったためで、これらがなかったとすれば予算ベースで102.5%であります。そして全国の市町村の経常収支比率を比べてみると、平成20年度が1801市町村中ワースト139位、平成21年度が1751市町村中ワースト71位、平成22年度は一過性の特殊要因がなければ1751市町村中ワースト5位であり、年々ワースト順位が上がっていく傾向にあります。
 なお、本年度の経常収支比率は予算ベースで96.7%であり、決算ベースでの順位を総務省22年度資料と照らし合わせてみるとワースト43位であります。本年度予算があらゆる手法によって財源の確保がなされ、これ以上分母の変動の可能性が少ないことを考えるならば決算ベースでは96.7%がさらに悪化し、ワースト順位がさらに上がる可能性も高いということであります。
 また、平成16年度以降は95%以下になったことはありません。本市は、既にほとんど自由に使える資金のない厳しい財政状況にあるということであります。このままでは新規事業を行うのは難しく、今後、国や県の補助事業を追い求めるか、本市独自の財源で事業展開をするのであれば前向きなスクラップ・アンド・ビルドではなく、縮小、削減だけに主眼を置いたスクラップ・アンド・ビルドとなり、結果、発想が貧弱となり、時代の変化へ対応するための将来を見据えた政策展開ができなくなってしまう危険性が高いと考えます。
 税の徴収率のアップ、経常経費削減などの作業は既に行われておりますが、税収の動向そのものに左右されることから、これらは将来の経常収支比率改善のための根本的な解決になりません。
 また、本定例会、公明党、北原議員の代表質問に対し、市長は市バス特別乗車証の継続を表明され、経常収支比率の分子維持を表明されているわけですから、今後、政策による分子の削減、分母の拡大に取り組む必要があると考えます。
 すなわち市民サービスの質も落とさず、なおかつ分子も小さく抑えるためには、市民の協働と参画が不可欠であり、私は今まで議会や委員会などさまざまな場で政策提言をしてまいりました。その内容は、いずれも協働と参画の確立と先行または並行して市民の自立のための支援システムを確立する政策が必要であるという観点からの提言でありました。つまり自主自立財源確保のための企業誘致及び雇用施策、そして市財政とは直結しなくても市域における小さな経済圏をつくり出す経済政策によって市の財政出動を最小限に抑える施策、また税金の使途を明確にすることによって市民の方々が自分の払った税金に対する行政サービスを実感できるような政策を打ち出していくことの必要性などを提言してまいりました。現在都市間競争の時代と言われております。伊丹市独自の施策を市長みずからの手で打ち出していくことが必要であると考えますが、市長は経常収支比率改善のため具体的に伊丹市としてどのような独自政策を打ち出していかれようとされているのか市長の御意見をお聞かせください。
 次に、ネオ伊丹ビル信託問題について質問させていただきます。
 本議会において議案第70号、市有地の信託の変更についてが提案されました。
 本議案は、本市が平成元年3月24日、受託者である三菱UFJ信託銀行との間で締結した信託契約により受託者に信託している土地及び建物を売却するため信託目的に処分を加え、そして処分手続費用を信託銀行に支払うため新たに処分手続のための信託報酬の割合を加えるための信託契約を変更しようとするものであります。
 そもそも本信託契約は、平成元年3月15日の一般会計予算審査特別委員会で審議され、その後、議決されたものであり、当時の説明では30年間に本市が受け取る信託配当累計は34億2400万円、その他固定資産税、都市計画税の累計10億7147万1000円が市の取り分として入り、信託期間終了時には土地、建物が本市に返還されるというものでありました。
 そして信託契約を締結する目的については、市の責任と負担のもとで外部から企業を誘致するなどして産業の振興・維持という政策課題の拠点として政策課題の解決をするための施設とし、また各委員からの指摘、質問に対し新しい労働形態を実現し得る都市環境を形成するためにもビル型の産業が非常に有効であると言われていることもあり、やはり挑戦していくことが必要だと考えたとの答弁もされております。
 しかしながら、その後経済情勢が大きく変化し、地価の下落、賃料の下落により当初目的は達成されず、今般将来に負担を残さず一般会計から繰り入れを一切しないとの方針から内部留保金が枯渇し、借入金と土地、建物の売買価格が同額で相殺が見込める今、売却して清算することが一番だとして議案第70号が提案されたわけであります。
 今回のネオ伊丹ビルは、土地ではありませんが、まさしく本市が独自の判断で企業誘致に活用できる床であります。にもかかわらずネオ伊丹ビルにおいて当初目的であった産業振興・維持・雇用確保のための施策をどうして一度も打ち出してこられなかったのか市長の見解をお聞かせください。
 次に、1月12日に総務政策常任委員協議会で売却の方向性が打ち出された後、戸田議員、佐藤議員、中田議員とともに調査を続けておりますが、現在次の3つの事項が確認できましたので、各事項について確認、質問をさせていただきます。
 最初の2項目の質問は、信託銀行と伊丹市とでやりとりされた2つの伺い書と承認書、指示書についてであります。3項目めは、賃貸契約について伊丹市の説明の虚偽の可能性についてであります。
 それでは、質問させていただきます。まず、1項目めの伺い書と承認書についてでありますが、平成15年7月31日、当時1階のキーテナントが賃料減額要請をしてきた際、受託者である信託銀行より伊丹市に伺い書が提出され、キーテナントの要請に応じ賃料を減額することによって大規模修繕の一部を信託銀行に信託期間内に実施できなくなる可能性があること。
 また、平成15年度の収支見通しにおいて平成16年度、17年度の信託配当金は各1500万円とするが、平成18年度以降の信託配当は実施できないこと及び平成16年度、平成17年度の信託配当についてもその段になって別途協議する必要があることについて書かれておりました。
 その返答として、平成15年8月20日付市長名ですべての事項について承諾する旨の承認書が発行されております。
 さらに伺い書では、賃料減額を実施することによりネオ伊丹ビルの財政健全性は劣化するが、伊丹市はこれをもって受託者の管理責任を将来においても問わないこと及び今後、借入金などの債務残高と信託不動産価額とを比較考量した上で適当と認められる時点または信託財産による必要な諸費用の支弁が困難になった時点で土地信託を合意解約し、信託不動産を売却処分することにつき伊丹市においても検討するとも付されております。この2点についても本市は承認しております。
 そこで質問させていただきます。まず1つ目は、平成15年段階において既に本市は大規模修繕の一部を信託期間内に実施できなくなる可能性について認識していたと理解させていただいてよろしいのでしょうか。
 2つ目、今回、平成23年11月17日、最高裁の信託契約の立てかえ金請求事件において兵庫県が敗訴した裁判事例を挙げられ、信託会社に対し責任追及できない旨の説明をされておられますが、平成15年より本市は既に信託会社に対し管理責任を問わないとしており、契約締結、変更、信託配当などの決定はすべて本市の責任のもとで行われていたということで理解させていただいてよろしいのでしょうか。
 3つ目、平成15年段階において本市は既に信託不動産の売却処分をしなければならない事態になることについて認識していたということで理解させていただいてよろしいのでしょうか。以上3点、当局の見解をお聞かせください。
 次に、2項目めであります。2通目の伺い書は、メーンテナントである株式会社ルネサスLSIデザインが平成18年に退去する可能性が極めて高くなった平成17年2月7日、信託銀行より伊丹市に提出されております。
 内容は、原契約第3条に規定する信託期間満了以前に今後発生する可能性のある債務・費用の支払いについて、信託財産内の内部留保、将来の留保可能額も含め、が不足するおそれが強く、受託者としては本事業運営の観点から平成16年以降の配当は行わず、内部に留保していくことが至当と思料するとの伺いでありました。
 これに対し平成17年2月10日、市長名の指示書によって平成16年度及び平成17年度の信託配当を各1500万円とすること、また平成15年度と同じく信託会社の管理責任を将来においても問わない旨、危機的状況になったときには信託財産を売却処分することを含めた根本的な対応策を伊丹市及び信託会社において協議検討することが指示書として出されております。
 そこで2項目めについて2点質問させていただきます。
 まず1つ目、平成17年度段階において信託期間満了以前に今後発生する可能性のある債務費用の支払いに対して信託財産内の内部留保が不足する危険性を認識していたということでよいのか。すなわち信託期間内に負債が生じ、信託会社との間で信託財産の売却について検討するか、もしくは財政的措置をとらなければならない危険性が高まっていると認識していたということで理解させていただいてよろしいのでしょうか。
 2つ目、平成16年度段階においても内部留保が不足することを指摘されておきながら、また平成17年度は平成16年度よりもさらに環境が厳しくなることを認識されているにもかかわらず、平成16年度、平成17年度の信託配当1500万円を指示されたことが市として適切であったと考えられておられるのか。以上2点について当局の見解をお聞かせください。
 最後に、本議案第70号提出に際し、空室部分の借り手が見つからないとの説明を協議会で受けております。一貫して当局の議会への説明は、借り主が見つからないというものでした。
 しかし、昨年10月より賃借の申し込みがあったはずであります。賃貸の申し込みがあったにもかかわらず本市が賃貸を断っている、そして当局が議会に虚偽の説明をしているということについて確認させていただきます。
 昨年10月より既賃借人が増床の申し出をされておられます。本賃借人は、賃貸契約当初より将来増床の可能性があることについて申し出ておられ、増床が可能ということがもともと賃借した要因の一つでもありました。
 しかしながら、信託会社の代理人は増床について聞いていないと主張し、増床できないかもしれない危険性を感じた申込人は昨年10月17日、代理人に対して再度事業拡張計画まで提出され、増床を申し出ておられます。その事業拡張計画の内容は、他地域にある支店を伊丹に集約していくため一度にワンフロアの半分すべては借りられないが、半年程度の期間の間に増床を行い、ワンフロアの半分すべてを借りるというものであり、今後2年間に順次増床を行い、最終的にはツーフロアまで増床していきたいというものであり、現状パート従業員100名体制をしいているところ今後1年の間に2倍程度にまで拡大する見込みであり、伊丹市及び近隣の雇用に最大限貢献したいというものでありました。
 これに対し信託会社の代理人は、新規テナントは中止していると主張し、申込人はビルの入り口には募集の掲示がされていながら増床不可について納得がいかないと主張すると、11月16日には信託銀行と信託銀行代理人が申込人をわざわざ東京まで訪問し、信託会社の代理人は強い増床ニーズについて認識していなかったと主張し、信託銀行からは空室部分については既に申し込みが入っており、空室部分はすべて埋まったと考えてほしいとの説明があった上に、既存部分については定期借家にしてほしい旨の申し出がなされました。
 これに対し申込人は、再度申込人の仲介業者に対し強く増床を主張したところ、12月5日になって申込人の仲介業者より既存部分はそのままの契約で継続し、増床部分については既存契約の賃借期間終了時である平成26年までの定期賃貸借ならば応じるとの指示がありました。
 申込人は、事業の拡大が伊丹では無理で、大半が伊丹市民である100名のパート従業員の解雇、新たな場所での人材育成も含めた移転も検討していたところ、ちょうど私どもがその事実を知るに至ったものであります。
 そこで質問させていただきます。まず1つ目は、本行為が本市の指示で行われたものなのでしょうか。
 また、11月16日には、信託会社担当者が直接申込人を訪問しておりますが、平成15年、17年と同じく信託銀行と本市の間で事前に伺い書、指示書など文書確認によってその行為がなされたのでしょうか。
 2つ目、10月20日の総務政策常任委員協議会ではネオ伊丹ビルの売買については検討中と答弁されながら、なぜ一方では売却に向けての準備行為をとっておられたのでしょうか。また、増床についての申し込みがあるにもかかわらず議会に増床の申込人がいることを説明されなかったことについてどのような理由があったのか御説明ください。
 3つ目、売却するかしないかにかかわらず、信託会社の代理人が増床の申し込みを断り続けたことは、既に本市に対し損害を生じさせているという認識をお持ちなのか。また、増床の申込人である事業者に対して事業計画の遅延、変更という損害を与えている事実をどう受けとめられるのか当局の見解をお聞かせください。
 最後に、5月に入札、8月に売買契約締結、9月に信託終了とのスケジュールの説明を受けておりますが、そもそもネオ伊丹ビルの経営が劣化し、議案第70号に至るまで当局の議会に対する説明内容と我々が独自に進めた調査事実との多くが相違していることは、議会に対する、ひいては市民に対する背信行為であると思います。そして議会に対しわずかな議論・検討をする時間しか与えないまま早急に売却を進められようとしていることは甚だ遺憾であります。そもそもネオ伊丹ビルは、市有財産、すなわち市民の財産であるという認識を当局は持っておられるのでしょうか。今回のネオ伊丹ビル信託問題は、伊丹市が市有財産の売却を不動産事業者が行う単なる不動産運用事業のように扱っていることがまず問題であります。当局が市有財産である市民の財産を預かり、守り、運用するという公の事業を信託会社に受託させ、受託させたにもかかわらず、裏で指示書を出し、さまざまな事例について議会に報告、承認もなく、市当局の側だけで判断し、市民の財産をこれまで特段の施策も実施しないまま信託会社が経営を劣化させたのを見過ごし、結果、単に財政的側面からだけ判断し、経営が行き詰まったところを売却するという安易な方法をとろうとしていることは全くもって理解できません。しかも過去の議事録を調査したところ、議会に対し過去から一貫し事実の報告がなかったこと、そしてさらに今回早急に売却を進められていることは公務員の精神からかけ離れた行為であると思いますが、当局の御見解をお聞かせください。
 なお、これで1回目の質問を終わらせていただきますが、質問が多岐にわたっておりますので、簡潔明快に御答弁をいただくことをお願いいたします。
以上

議会質問一覧へ戻る