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  • 第4日6月17日平成22年第3回定例会
  • 国土交通省の成長戦略会議の提言内容につき、今後の本市の対応を問う。
    • 今般の国土交通省成長戦略会議の提言内容通り、伊丹空港と関西国際空港が経営統合された場合、今後、伊丹空港がどのようになっていくると考えておられるのか、当局の見解をお聞かせいただきたい。
    • 伊丹空港が民営化された場合、本市が使用している移転補償跡地がどのようになると考えておられるのか、当局の見解をお聞かせいただきたい。
    • 伊丹空港が民営化され、関西国際空港と統合された場合、空港の活性化が必ずしも本市の活性化と連動しなくなる可能性があり、今後、空港所在地3市を中心とした近隣市町が一体となって足並みを揃え、空港周辺地域全域の産業誘致等をしていく必要があり、その為、関連市町間で連絡会議を設置し、積極的な産業誘致活動をすべきと考えるが、当局の見解をお聞かせいただきたい。
  • 地域活動拠点となるべき施設について、それぞれの地域が地域にあった活動が出来るよう、様々な支援システムを検討すべきであると考えるが、 当局の見解をお聞かせいただきたい。

以下原文

議員 岩城敏之 
 ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、発現通告書に基づき質問させていただきます。
 5月17日、成長戦略会議航空分科会報告が取りまとめられ、国土交通省への提言がなされました。その内容は、伊丹空港を今後、空港として活用する場合、その価値最大化の観点から、空港ビル事業や駐車場事業との上下一体化を目指して検討を行うとされた上で、関空、伊丹空港の事業価値の最大化とキャッシュ化の手法としては、民間の知恵と資金を活用することが望ましく、両空港の事業運営権を一体で民間にアウトソースする手法を基本に、その可能性を追求するとしています。
 しかしながら、コンセッション契約については、税制上の措置など、一般的なパブリック・プライベート・パートナーシップの創設や関空会社の株主や債権者を含め、幅広い関係者との調整が必要であるなど、不確定要素が残るため、実際のスキームとしては、例えば持ち株会社の設立といった方式により、両空港の経営統合を先行させつつ、民間の提案を積極的に受け入れる中で、具体的方策を検討していくことが適当であるとされています。
 報告の内容は、どちらともとれる部分もあり、断定できないところもあり、今後、国がどのように判断するかはわかりませんが、少なくとも成長戦略会議としては、一元化について運用の一体化なのか、経営の一体化なのかについて、結果的に経営の一体化にするという方向性を打ち出し、当面は事業運営の徹底的な効率化などを図った上で、伊丹空港を関空の補完空港として利用しつつ、将来的にはリニアなどの周辺状況の変化や跡地の土地利用計画の策定状況などを見通し、廃港、関空への一元化を検討するなど、具体的な活用方策を民間の経営判断により決定するとしたものと理解しています。
 したがって、伊丹空港の将来は、今後、経営統合される持ち株会社の判断にゆだねられる可能性が高くなる可能性が出てきたということであります。
 成長戦略会議報告書で上げた持ち株会社については、株式交換または株式移転のいずれかの方法をとるのか。完全親会社が持ち株会社または合同会社、LLCになるのかはわかりませんが、会社法上、完全子会社は株式会社でなければなりません。持ち株会社設立時において、関空会社の株主の株主責任、国の責任が精算されることもなく、すなわち関空会社の減資手続もとられないまま、持ち株会社に移行することとなれば、現在の関空会社の株主の権限が伊丹空港の将来に大きく影響してくる可能性が高くなるということであります。
 現在、関空会社の資本金額は8138億2000万円であり、大阪府、大阪市、兵庫県の各自治体の発行済み株式総数に対する所有株式の割合は、それぞれ10.95%、5.47%、1.52%であり、伊丹空港の価値が持ち株会社設立時にどのように評価されるかはわかりませんが、いずれにせよ持ち株会社においては、例えば大阪府は解散請求権以外のすべての少数株主権を持つ株主となる可能性が高く、兵庫県は取締役会設置会社の株主提案権も持てない株主となる可能性が高くなったということであります。
 私は昨年3月議会、本年3月議会において、伊丹空港の民営化について検討すべきではないか、また一元管理が先行し、経営統合されるようなことになれば、伊丹空港周辺地域の意見が反映されない自体を招きかねないと申し上げてまいりました。
 昨年12月、前原国交相が関空視察に行った段階では、関空、伊丹も経営的に一つにするのか、運用を一体化させるのかを考えなくてはならないとの認識しか示しておらず、その前後、関西3空港懇談会が上げていた3空港の一元管理についても、東京ではそもそも一元管理に対して消極的であったように思います。そして、成長戦略会議の中間素案作成時においても、一元管理についてはさほど議論されていなかったと認識しています。
 今回の成長戦略会議の報告書においても、一部には関空、伊丹空港のコンセッション契約に当たっては、それぞれの事業価値が別々に評価されるべきであるという意見もあったように、民営化と一元管理は本来ならば別々に考えるべきであり、本市は民営化されるのであれば単独民営化を使用すべきであり、国の空港として残るのであれば、一元管理を主張すべきであったと思います。
 そこで質問いたします。今後の成長戦略会議の提言内容どおり、伊丹空港と関空が経営統合された場合、伊丹空港がどのようになっていくと考えておられるのかであります。なお、本質問は既に先日、新内議員が質問され、答弁もなされておりますので、運用上の一元管理については、既に市長も昨年より意見を述べられているところでありますので、経営上の一元管理がなされた場合、どのようになっていくと考えておられるのかについて、当局の見解をお聞かせください。
 次に、伊丹空港が民営化など、経営形態が変わった場合の本市の移転補償地契約などによって使用している土地の今後であります。本市は現在、68カ所、延べ10万5157.57平米の移転補償地を共同利用施設敷地、公園敷地、消防施設敷地、道路敷地などとして使用し、共同利用施設敷地2カ所、行政推進業務敷地1カ所を除く65カ所を無償にて使用しています。もし伊丹空港が民営化など、経営形態が変わった場合、これらの土地が今後も現状契約内容どおり使用できるのか。もし使用できない事態や有償契約に変更されることとなれば、本市が使用している土地以外に兵庫県が県立西猪名公園として使用してる2万8571.51平米もあるわけですから、今後、本市の防災計画や財政にも大きく影響してくると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 空港関連の最後の質問をさせていただきます。
 もし、今回の成長戦略会議の提言どおりに民営化、経営統合となるならば、今までのように空港本体の活性化が必ずしも本市の活性化と結びつかない可能性が高くなるのではないかということであります。すなわち将来の空港の存続が不安定な事態となれば、幾ら一時的に空港が活性化しても、本市に存在する企業は本市における設備投資を控え、場合によっては本市から移動する可能性も高くなり、空港の活性化が必ずしも将来的な本市の活性化にはならないということであります。活性化の考え方について根本的に見直す必要があるのではないかと考えます。
 そして、今後、活性化を考える場合、本市のみの活性化として考えるのではなく、空港所在3市と周辺市町が中心となった地域連合で地域活性化論を考える必要があるのではないかと考えます。
 現在、空港所在3市と周辺市町は、それぞれ異なった産業振興施策がとられておりますが、一度これらの各市町村の施策を整理、検討し、空港を中心とした一つの産業振興施策を考え出せないかということであります。
 昨年3月議会において、私は航空機産業の話をさせていただきました。伊丹空港周辺に航空機産業の土壌が整っていることはないこと、内陸型空港の特性が十分に生かし切れることについては、昨年申し上げたとおりであります。
 そして、先日発表された通商白書でも、今後、日本の産業構造は一般消費財輸出型産業から鉄道、下水道、原子力発電などといったインフラ産業への転換が必要とされています。高度技術集積産業である国産小型旅客機産業を初めとした航空機産業も今後、国の重要な産業政策となる可能性は高く、国産小型旅客機MRJのプロジェクトがスタートしている今、小型旅客機の拠点空港となる可能性を備えている伊丹空港が旅客型空港から産業併存型空港へ転換できる可能性も十分にあるのではないかと考えます。
 本例は一例ですが、本市の場合、もし伊丹空港が廃港になるようなことになれば、市内の産業構造が変化し、就労者人口の減少を招く危険性は高く、結果的に税収の減少、高齢化率の上昇、不動産価格の下落といったことを招きかねません。早急に将来に備え、その変化を補完できる産業振興策を初めとする各施策を打ち出し、先手を打っていく必要があるのではないかと考えます。
 そして、その先手を打つためにも、空港所在3市と周辺市町が一体となって、産業振興施策を中心とした地域活性化を検討し、発信する組織づくりが必要と考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 次に、市内215自治会が活動拠点として使用している施設についてであります。
 現在、160を超える自治会が伊丹市共同利用施設等条例に基づいて設置された共同利用施設、コミュニティーセンター、交流センターを活動拠点として使用し、残り自治会が伊丹市共同利用施設等条例に基づかない自治会館、集会所などを活動拠点として利用しています。
 なお、伊丹市共同利用施設等条例に基づかない自治会館、集会所等とは、自治会が独自に所有している自治会館、または集合住宅が独自で所有する施設、すなわち区分所有などに関する法律に基づいて、マンションなどの集合住宅に設置されている施設であります。また、自治会の活動拠点として届け出てはいないものの、自治会が所有または管理者となっている施設は10を超えます。
 これら多くの施設は、昭和42年の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止などに関する法律によって設置されたものであり、設置数が加速度的にふえたのは、伊丹市共同利用施設等条例ができた昭和46年以降であります。
 現在、伊丹市共同利用施設等条例に基づいて設置された75の施設のうち、70施設がこれに該当します。そして、集合住宅が独自で所有する施設を除いた伊丹市共同利用施設等条例に基づかない、自治会が独自で所有する施設の多くは、それ以前の昭和30年代に建築されたものがほとんどであります。
 このようなことから、本市における自治会の活動拠点の半数以上は、既に築30年以上を経過し、特に昭和45年から昭和59年の15年間に43の共同利用施設が設置されており、今後、築40年を経過する施設が年々増加し続けてきます。また、伊丹市共同利用施設等条例の対象となっていない自治会が独自に所有する施設は、現段階において既に築40年を経過してるわけであります。
 また、航空機騒音による障害の緩和を目的とした共同利用施設が大多数を占めることから、その設置場所は地域的に偏在し、地域的バランスがとれているとは必ずしも言えません。これら自治会活動の拠点施設は、市営住宅の場合と異なり、民間ストックの活用といった政策転換によって対応を考えることはできないことから、今後、用途廃止、建てかえのいずれかの選択を迫られることとなります。
 しかしながら、本市の今後の財政状況などを考えるならば、すべての施設を市の財源だけで建てかえるのは非常に難しく、このままでいけば、複数施設を一つに集約し、使用しなくなった施設用地などを売却するなどによって、集約施設をつくっていくという選択肢しか残されなくなる可能性もあります。
 しかしながら、複数施設を集約して一つの集約施設をつくることが本当に可能なのか。集約施設が現在のような自治会活動拠点となり得るかについては、疑問を持たざるを得ません。言うまでもなく、生活の場である地域社会で、生活を支える基本的要素として住民相互のつながりを維持することは不可欠なことであり、自治会組織は大きい社会的資産です。すべての人にかかわる暮らしの場で、すべての住民に開いた組織である自治会の持つ意味は非常に重要であり、今後ますますその役割が重要なものとなっていきます。
 しかしながら、一方で、自治会を取り巻く環境といえば、自治会の組織率の低下が危惧され、高齢化が進む中、加入はしていても役員になることを避け、行事への参加も減って、名前だけ、会費だけの会員がふえているのも現状であります。
 また、集合住宅においては、高齢化の同時進行化と若年層の雇用不安定化の結果、近隣とのつき合いも減り、マンションを一単位とする自治会の組織では、今後、地域活動が全くできないマンションが出てくることも想定されます。一定の施設集約が必要な地域もあるでしょうが、現在の各地域の自治会活動を考えるならば、一律に集約するということは得策であるとは言えません。それぞれの自治会が地域に合った活動をするためには、各自治会が活動拠点となる施設を確保したいと考えるのは当然のことであります。
 しかしながら、現在の自治会の置かれている社会環境、自治会が自立して活動していくための自治会の自主財源、自治会が選択できる支援システムは少なく、したがって、なかなか自立しにくい環境にあります。自治会活動拠点施設の今後のあり方を考える場合、単に施設の建てかえ問題として考えるのではなく、まず現在の自治会の置かれている社会環境に対して、行政、自治会が一体となって検討、対応施策を打ち出し、自治会が自立することができる支援システムを整備しなくては、自治会の自立的な活動はできず、自立的な活動ができる自治会なくして、活動拠点となるべき施設について考えることはできないものと思います。
 まず、自治会の置かれている社会環境に対してどのように対応していくか。例えば自治会の組織率の低下に対して、どのような取り組みができるかであります。例えば集合住宅の取り扱いであり、集合住宅住民の方々への自治会加入促進のためのシステムづくり、管理組合と自治会の関係整備、またワンルームマンションの単身者の自治会加入の問題などに対して、今後、行政と自治会が一体となって積極的に働きかけができる手法を検討すべき時期であると考えます。
 そして、自治会が自立的な活動ができるための行政支援システムとして、コミュニティーファンドの創設、自治会の自立的な活動をするための借り入れに対する補償制度の創設、自治会法人化の支援システムなどを整備する必要があると考えます。
 行政と自治会が一体となって、自治会が自立的な活動ができる環境整備をした上で、地域ごとの合意形成をもとに地域資源を生かした将来ビジョンを策定し、今後の自治会の活動拠点としての施設のあり方について検討すべきであると思います。そして、差し迫った問題として、伊丹市共同利用施設条例に基づかない、既に40年を経過している自治会所有の建物についても、共同利用施設と同じ扱いを検討すべきであり、まずそこからモデルづくりができないか、検討すべき時期であると考えます。
 そこで質問いたします。自治会が活動拠点としている施設について、今後、数多くの施設が建てかえを迎え、本市の財政状況から考えるならば、すべての施設を建てかえることは困難であると考えます。
 しかしながら、施設を統合することは、今までの自治会の持っていた本来の役割を十分に果たせなくする可能性もあり、今後、地域コミュニティーの維持が難しくなる可能性もあります。自立的な活動ができる自治会への施策、施設の移管もあわせ、それぞれの地域が地域に合った活動ができるようさまざまな支援システムを検討すべきであると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 以上をもって1回目の質問を終わらせていただきます。

市長 藤原保幸
 私から、空港問題に関しますお尋ねにお答え申し上げます。
 岩城議員も触れられましたように、去る5月17日に成長戦略会議において、航空分科会報告が取りまとめられまして、国土交通省へ提言されました。これに関しまして、岩城議員から、経営上の一元管理がなされた場合、今後、伊丹空港がどのようになっていくと考えているのかというお尋ねをちょうだいしたところでございますが、私は、要はこの一元管理と言われる管理の内容、目的、それによるのだろうというふうに考えております。これにつきまして、国交省はどう考えてるんだということを確認しましたところ、現段階では提言いただいた内容の実現のために、予算要求でありますとか、来年1月から開かれます通常国会へ提出を予定して、法案を準備していると。そのための制度設計をしておるんだという段階でありまして、まだ地元、私どもへ説明できる段階ではないので、もうちょっと待ってほしいということでございました。
 したがいまして、具体的にどのような形の経営統合といいますか一元管理が想定されているのかは、後日といいましても、この7月、8月ぐらいには一定の説明があるものというふうに考えております。
 ただ、単にそれを待ってるというだけではしようがありませんので、これまでも機会をとらえて、国交省には意見を申し上げてまいりました。具体的には、去る5月12日でありましたけれども、大阪国際空港に関する意見交換会というのが空港で実施されまして、国からは国土交通省航空局の空港部長、空港政策の責任者が来てくれまして、この成長戦略会議の状況の説明を我々にしてくれまして、その後、意見交換を行いました。
 この際に、私から空港部長に空港の管理運営について意見を言うとともに質問いたしましたところ、空港部長からこういうお答えがありました。両空港の事業価値を最大化できるように、ベストミックスを民間に考えていただく。持ち株会社が戦略的な判断のもとでやっていくという基本的な発想がある。安全対策、環境対策については、担保できる仕組みを国として考えて制度設計していきたいということでございまして、民間に考えてもらって、伊丹空港をフル活用するんだといったような話もございました。
 そして、議員も触れられましたように、経営統合が提案されています関西国際空港につきましては、当該空港、関空の建設と管理のためにということでつくられた会社でありまして、1984年に設立されました。出資につきましては、主な株主として、国が66.66%、要は3分の2を出資しまして、残り、大阪府、大阪市、兵庫県といった地元の地方公共団体が21.67%。ですから9分の2ということになります。そして、民間からが11.67%、9分の1ということですので、国対地方公共団体対民間が6対2対1の割合で出資しておるということで、圧倒的に国が出資して、国の玄関口ですから当たり前でありますけれども、そういった出資割合となっております。
 今後、成長戦略会議で提言されましたように、持ち株会社が設立されまして、伊丹空港と関空との経営統合がなされた場合、さてどういうことになるのかと。議員からは、大阪府の影響力が増す可能性があるんじゃないかという御指摘もちょうだいいたしまして、確かにそういう面もあるかもしれませんけれども、そもそも出資比率がどうなるのかとか、そもそも何のための持ち株会社で事業目的をどうするのかというところは現段階ではよくわかってないわけでありますが、私としましては、関空のための経営統合ではなくて、関西全体の発展と航空事業のパイの拡大、航空事業が大きくなる方向で両空港の特色を生かした最適運用することが重要であるというふうに思っておりますし、そう主張してまいっておるところでございます。
 そのためには、今後の法案準備の段階から意見を言っていかにゃいかんと思いますけれども、その中に将来、伊丹空港の運営につきまして、地元の意向を反映できる仕組みをビルトインする必要があるのではないかというふうに思います。ですから、仮に一元管理化されたとしても、伊丹空港の運営等について、地元が参加して意見を述べる場の設置、こうしたことが必要ではないかというふうに一つ思っております。
 また、本会議でも繰り返し申し上げておるところでありますけれども、特に安全、環境対策につきましては、それぞれの協定で国が責任を持ってやるということになっておるわけでありますから、どのような実施主体になるといたしましても、この安全対策、環境対策が後退しないよう、国が責任を持って万全を期すことは求めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 それから次に、空港を生かした産業誘致活動についての御質問にお答え申し上げます。
 成長戦略会議の航空分科会報告書によりますれば、将来的なリニア等の周辺状況の変化や跡地の土地利用計画の策定状況等を見通し、廃港、関空への一元化を検討する等、民間の経営判断により具体的な活用方策を決定するといったようなフレーズが入っております。
 これに対して、私からは、リニア新幹線構想のような数十年先という将来の不確定な要素をとらえて、伊丹空港の廃港を現段階で触れるということについては、いかがなものかと、反対であるということを機会があるごとに申し上げてきたところでございます。
 さらに、これ議員も触れられましたけど、前原国土交通大臣から、将来的には伊丹の廃港も当然ながら考えざるを得ないと思いますと発言したというふうな報道がございました。これはちょっと看過できないということで、国土交通省に大臣発言の趣旨を確認いたしましたところ、伊丹廃港は当面の間考えていない。これからも利活用していきますし、中央リニアが大阪まで来る時期は相当先であり、当面は考えていないということを大臣はおっしゃったんだというふうに言っておりました。
 当然のことでありますけれども、議員の御指摘のとおり、空港が将来廃港になるとされれば、将来のこととはいえ廃港になるということが決まれば、企業は現段階から投資計画を見直すといったこともあり得ましょうし、首都圏などに移転してしまう危険性、可能性もあるのではないかというふうに考えます。これは当然空港周辺市にとっても大きなマイナスになるものと考えております。
 そうしたことから、これまでにも昨年10月に前原国土交通大臣に直接お会いして、そうした意見を申し上げてまいりましたし、実はついこの間、6月13日にも大臣に直接お会いする機会がありまして、今回の国際チャーター便の許可いただいたお礼を申し上げますとともに、この廃港についての地元の意見を再度申し上げたところでもございます。
 今後、議員の皆様方の御助力もいただきながら、国に対しては強く働きかけてまいりたいというふうに考えております。
 また、空港所在3市と近隣市町が地域連合を組んで産業誘導に取り組むべきではないかといったような、岩城議員から御提案をちょうだいいたしました。
 確かに、国を挙げて地域主権に向けた議論が進められている中でございまして、各自治体は都市間競争といったような言い方もされることがありますけれども、独自の企業誘致に取り組んでおるところでございます。実際に本市でも企業立地支援条例、議会でお認めいただいて、既に動かしておるわけでありますけれども、豊中市におきましても同様の企業誘致支援制度をもちまして、製造業等の企業誘致に力を入れておられるところでございます。
 いずれにいたしましても、空港を生かしたまちづくりを進めています空港周辺都市におきましては、空港の利便性を生かした企業の誘致によるまちの活性化は共通の課題であるというふうに考えております。この点では伊丹と豊中、池田、この3つの商工会議所が中心となられて活動されておられます大阪国際空港及びその周辺地域活性化協議会、いわゆる活性協でございますが、こうした取り組みをしていただければ、非常に力強いものになるのではないかというふうにも考えております。
 各市の考え方を確認した上で、できれば連携してともに空港周辺都市の発展に向けまして、非常に利便性の高い伊丹空港の産業面での活用、企業誘致、企業間提携等の取り組みなどを今後積極的に検討してまいりたいと考えております。
 特に本年度は、御説明しましたように、本市の産業振興ビジョン改定の年にも当たっております。空港を生かした産業振興策をぜひその中に盛り込んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
 他の質問につきましては、担当部長から御答弁申し上げますので、よろしくお願いいたします。

総合政策部長 松井正道
 空港問題に関する御質問のうち、2点目の伊丹空港が民営化された場合、本市が使用している移転補償跡地がどのようになるのかとの御質問にお答えいたします。
 現在、伊丹市では移転補償跡地を、御質問にもございましたが、公園、道路、消防施設などとして平成21年度現在68カ所で約10万5157平方メートルを借用して利用しております。そのうち無償貸し付けが約10万4649平方メートル、有償貸し付けが約508平方メートルでございます。
 内訳としましては、国の行政財産として18カ所、約6万344平方メートル、普通財産として50カ所、4万4813平方メートルとなっております。
 具体的には、伊丹スカイパークを初めローラースケート場や市内27カ所の公園等、市民の憩いの場として活用しておりますものや、また都市計画道路用地を初め空港周辺における道路用地、消防施設である防火水槽などの市民生活並びに安全に直接かかわる施設が大半でございます。このように国から借用しております土地は市民生活に欠かせないものでございます。
 伊丹空港が国土交通省の成長戦略会議の提言の内容のとおり、関西国際空港と経営統合をされました場合、本市が使用しておりますこれらの移転補償跡地がどのようになるのかといった実際のスキームは、現時点では国土交通省からはまだ示されておりません。今後それらがどうなるのかについて国土交通省からの説明等があると考えておりますが、その際は移転補償跡地の無償使用が継続できるような制度設計を本市として、また周辺各市とも連携いたしまして強く求めてまいりたいと考えておりますので、御支援いただきますようによろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

市民部長 川戸小史郎
 私からは、2点目の地域活動拠点となるべき施設についてさまざまな支援システムの検討についてお答えいたします。
 御案内のとおり、我が国においては人口の減少傾向、少子高齢社会、国、地方の財政問題等といった背景や人々のニーズの多様化の中で地域の役割が高まり、地域のことは地域で決定するという地域主権、市民自治のあり方が積極的に推進されつつあります。
 そして本市におきましては、平成15年度に伊丹市まちづくり基本条例を制定し、市民と行政が一体となった熟議によるまちづくりを推進してまいりました。
 こうした中で、現在、審議中で来年度からスタートが予定されています第5次総合計画においては、「市民が主体となったまちづくりの実現」を基本目標に、より一層市民の参画と協働による市民自治社会の創造を目指し、まちづくり協議会等の地域団体を中心とする協働のまちづくりを進めようとしているところです。
 現在、本市では地域住民で構成されているまちづくり協議会や地区社会福祉協議会、あるいは自治会や老人会、子供会、PTAなどの多様な地域活動団体が地域福祉の向上や安心安全なまちづくりを目標に、子育てに関する活動や防災、防犯活動、児童の見守り活動などを活発に展開しております。
 そして第5次総合計画での地域づくりは、市民が主体となったまちづくりの実現を基本目標にし、こうした地域団体の活動の現状、今後の役割、方向性、活動のスケールメリット、地域での活動範囲等を踏まえ、小学校区を基本とした地域活動を推進するものです。
 この住民と行政が一体となったまちづくりの条件整備としましては、地域のことは地域で決定するという地域主権の観点から、市民が地域社会での課題解決能力を高めるため、それぞれの地域で活動する地縁団体やテーマ型社会活動団体も含めた自治組織のあり方やそれを運営する財政的な仕組み、活動の拠点整備など、協働の仕組みづくりが最大の取り組み課題と認識している次第でございます。
 そこでお尋ねの地域活動拠点となるべき施設についてでございますが、議員御案内のとおり、本市ではその活動拠点として共同利用施設や自治会館等が利用されております。その内容は、条例により航空機騒音による障害の緩和及び地域住民のコミュニティー活動の推進に資するため、70カ所の共同利用施設と3カ所のコミュニティセンター、2カ所の交流センターがあり、そうしたセンターの建設時期につきましては、昭和42年に建設されました神津センターが一番古く、昭和40年代に建設されたものが27施設、昭和50年代に建設されたものが31施設、昭和60年代から平成にかけて建設されたものが17施設で、平成18年に建てかえられました春日丘センターが一番新しいものでございます。
 これらの共同利用施設の管理運営は一部のセンターを除いて、当該地域や隣接する自治会等で組織された運営委員会に管理委託しておりますが、一方、自治会や農会、水利組合等が所有する地域の自治会館につきましては、市で把握しているものが30施設ございまして、このうち過去に国庫補助を受けて防音改造を行った自治会館につきましては、共同利用施設に準ずる施設として位置づけております。
 そしてこうした施設の多くが地域住民の日常活動や交流活動、地元の集会や行事に使用されており、特に共同利用施設が建設される以前の昭和30年代に建設された地域の集会所は、今日に至るまで地域の活動拠点施設として大きな役割を果たしていることも十分認識している次第でございます。
 しかしながら、これらの共同利用施設や地域の自治会館は古いものは建設から40年以上が経過しており、全体的に老朽化が進んでいるため、今後これらの施設のあり方は早急に対応する必要があり、地域づくりの観点から大きな課題と認識しています。
 そのため先ほど申し上げましたように、地域社会をつくり上げていく協働の仕組みづくりを市民と行政が一体となって熟議を重ねる中で、地域の今後のビジョンを明確にする地域計画を策定していき、活動拠点となっている施設の統廃合や建てかえ等についてもその中で位置づけ、財源についてどうするのか、総括補助金の整理、あるいは議員御提案の自立した地域活動を支援する市民ファンドや借り入れ保証制度の創設など、地域の法人化による収益活動も視野に入れ、地域が主体性を持って決定していただき、さまざまな対応策を検討していく必要があると認識しています。
 いずれにしましても、こうした支援のあり方につきましては、現在、審議中の第5次総合計画を推進していく中で、地域組織の条例等を初め権限移譲のあり方、補助金等の一元化、そして拠点施設のあり方等を含め、市民とともに検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。

議員 岩城敏之 
 2回目は質問と要望とさせていただきます。
 10年、20年たって振り返ってみると、あのときがターニングポイントだったと思うときがあります。今、10年後、20年後の本市にとってターニングポイントであったと思われるときであると思います。1%のリスクを回避するため1%の可能性を求め、あらゆる事態を想定し、その対応を準備することが必要であり、変化に対応するのではなく、兆候に対応することが必要なときであると思います。
 空港に関しては、長い間、国の提示してきた内容に対していかに対応していくのかが本市のスタンスでありました。しかしながら、今、要望から提案のときに変わるときであると思います。今後、先手の対応をしていくことを強く要望いたします。
 移転補償跡地等につきましては、本市の今後の財政と市民生活に本当に大きく関係してくることでございます。先ほど当局から御説明ございました508平米も当初は無償であったはずです。それが契約変更時において共同利用施設敷地等が有償化されてきたものだと理解しております。
 今後、契約内容がすべて無償でいけるということは非常に難しい状況、まして空港の置かれている環境から考えるならば、根本的な見直しもしていかないといけない。そのためにはすべてあらゆる事態を想定し、先手先手を打っていくことが必要であると思います。
 産業振興につきましては、市長より商工会議所という言葉をお聞きいたしました。産業構造が大きく変化していく中で、今後、本市がどのようなポジショニングに位置できるかということは、本市の将来にとって非常に大切なことであります。商工会議所でなく本市近隣市町村が全面的に動かなければ、非常にそのリスクは高いと考えております。
 先日、京都商工会議所の会頭が利便性が確保されるならば、関空でもいいという発言をなさいました。今後、私は以前からも利便性は不変なものではないと申し上げてまいりました。関空との利便性が今後充実されていくということになりますと、逆に伊丹はその地域に取り残された空洞化される危険性があるということであります。
 産業構造が湾岸に集中し、京都にハイテク産業が集中し、その利便性が確保されていく中で、それがネットワークされていく中、内陸型の門真から伊丹、宝塚までに関する地域は空洞化された地域として残される危険性があるということであります。産業振興施策については、私は時間的余裕はさほどないと考えております。本市自体が、そして近隣市町村が本気になって対応していただくことを強く要望させていただきます。
 地域施設についてであります。自治会は本来、法に規定されたものでなく、本来、人数、地域面積など、何らの定義もございません。本市においても20世帯の自治会から、1000世帯を超える自治会が存在します。また、マンション自治会のように、1つの建物を単位とする自治会。私は空間自治会と考えておりますが、マンションの管理組合と自治会が一体化した自治会が多く存在しています。
 先ほど質問で、現在、自治会の置かれている環境改善への取り組みも必要であると申し上げました。マンションについては、本市におきましては大規模開発がなされていないため、一元の人口の集中した地域は存在しないということでございますが、近年、マンションが多く建ち並ぶということは、特定人口の年齢層の人口区域がふえていくということでございます。
 例えばマンションの場合、住宅ローンの使える世代の方々が集中的に入ってくるわけですから、高齢化も一元的にその地域はすべて高齢化するという危険性があるということでございます。また、管理組合と自治会というのは本来、法律上も規定が違います。管理組合の場合は所有者を基準とした組合であり、自治会はその地域に居住する方のすべてに開かれた組織であります。
 現在まで伊丹市におきましてこのマンション等に対する対応等が余りなされていないように感じます。ここに手をつけるということが自治会の組織率の上昇にも結びつく可能性が高うございますし、今後の自治会、一律的な地域が分離されて孤立しないためにも、その対応を考えていく必要があると思います。この件につきましては、当局に対しまして再度の質問とさせていただきます。
 そのほか共同利用施設法の基準の適用を受けない昭和30年代に所有された自治会が独自に所有する建物についてであります。先ほど当局より地縁団体として30を超える施設があるというお話をいただきました。
 私が今回の質問におきまして、自治会を最小限の組織といたしましたのは、地方自治法における要は地縁団体の最小単位が自治会ということであります。先ほどの30という組織という形になりますと、その地縁組織の要件を満たさない地縁団体の分も含まれます。
 税の公平な分配ということから考えるならば、現在、築40年を経過している自治会が所有する建物につきましても、共同利用施設と同等の観点から建てかえ等について考えていく必要があると思います。
 先ほど当局からは認識しているというお言葉がございましたけれども、指定管理者制度が採用されまして、共同利用施設等に該当します建物につきましては、指定管理の関係の費用が払われております。同一内容の業務等を行っている自治会であったとしても、自治会が所有する自治会館を使用している自治会に対しましては、一切の費用等の弁償がされておりません。また、過去の昭和30年代の歴史を考えるならば、ほとんどの自治会が所有する自治会建物の敷地は寄附行為によって行われたものであります。税の分配等を考え、まして共同利用施設が今後、築40年を迎えていく前に、もう既に40年を迎えている自治会が所有する自治会館のあり方について検討を始めるところからしていただきたいということを、この点につきましては強く要望とさせていただきます。
 以上、2回目の質問、要望を終わります。

市民部長 川戸小史郎
 再度の御質問にお答えいたします。
 自治会の加入率が低下しておりまして、そしてそうした低下している中で、その加入率を高めていくというのは地域主権のあり方からとっても大変大切なことだと思っております。
 そうした中でこれからのマンション等に対する取り組みといたしまして、現在、マンション等の建設につきまして開発時等に自治会等に対する加入の働きかけというのをやっておりませんでした。そういった意味で開発の協議があった時点で、これからは担当部署と調整させていただく中で、マンション等の自治会結成、もしくは近隣の自治会等に対する加入の勧誘、こういったことを強く働きかけていきたいと、このように思っております。
 それからもう1点、自治会連合会でも魅力ある自治会を目指していくということを検討しておりまして、そうした改善内容についても強くアピールをしていきたいと、このように思っておりまして、他市の事例等も自連の方に紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上

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