議会質問一覧へ戻る
  • 第8日3月12日平成22年第1回定例会
  • 地元空港関係市のとりまとめや伊丹空港を利用している全国の市町村を巻き込んでいけなければ、本市は孤立しかねない危険な状況に陥る可能性があると考え、下記質問を致します。
    • 大阪国際空港周辺都市対策協議会(11市協)の会長として、今後11市協をどのようにとりまとめていかれるのか
    • 現在の11市協の体制が今後も良いと考えておられるのか
    • 伊丹空港を利用している全国の市町村へ伊丹空港の必要性を求め、全国の市町村の意見を取りまとめていく事が必要と考えるが市長の見解をお聞かせいただきたい。
  • 本年1月31日の共同通信配信記事で、国土交通省成長戦略会議での航空分野についての検討状況が各紙で報道され、検討事項の中に、伊丹空港民営化が掲げられている。万一の場合に備え、早急に伊丹空港民営化については検討に入り、事前に対応策等を考えていくべき時期であると考えるが、当局の見解をお聞かせいただきたい。
  • 大阪国際空港広域レールアクセス導入の為、当面の対応策として導入されているJR伊丹駅と空港間の直行便を含む、本市と空港間の市バスの運行について、及び、伊丹と関空間のリムジンの導入について

以下原文

岩城敏之 議員
 議長より発言の許可をいただきましたので、発言通告書に基づき質問をさせていただきます。
 おととし夏から始まった大阪府橋下知事の伊丹空港廃止論議は、その後いかにも伊丹空港廃止に具体的根拠があるかのような議論にまで発展しました。しかしながら、もともと今回の論議は関空自体の債務問題が起因であり、なぜ伊丹空港を廃止しなければならないのかという論拠もはっきりしなかったわけですから、真正面から橋下知事に対抗していく必要もなく、本来ならば空港周辺地域は橋下知事とは違った別の活性化案を出すべき時期だったと思います。
 一方、国の動きは昨年10月14日、国土交通省で市長御自身が前原国交相と面会され、伊丹空港を基幹空港として維持することを要望された際に、大阪国際空港の廃止は心配しなくてもいいとの回答を得られ、その後も前原国交相は一貫して大阪国際空港廃止は考えていない旨の発言をされています。また、現在行われている成長戦略会議でも早期の廃港は論点とされていない旨の報道もされています。
 当然、橋下知事の伊丹空港廃止論に対し、反論すべきことは反論すべきでありますが、注意しなければならないのは、橋下知事の世論形成であると思います。当初、橋下知事には空港問題に関し権限がないから無視しておけばよいという意見もありました。しかしながら、橋下知事が世論形成をしていく過程で国が動き出し、地元経済界や空港周辺地域も動きだし、加速されるかのように3空港に関する議論が進み出しました。
 このように橋下知事が空港周辺地域をも巻き込んで世論形成をしていく過程で注意しなければならないのは、本市の発信が地域エゴとしてイメージづけられることであります。なぜなら、今後、本市の発信がたとえ正論であっても、伊丹市の地域エゴとして取り扱われてしまう危険性があるということであります。本市の発信が今後、地域エゴとして扱われず、本市の立場が十分に尊重され、伊丹空港を活性化させていくためには空港周辺地域を取りまとめ、伊丹空港を利用している全国の市町村をも巻き込んだ全国的議論展開をすることが必要であると考えます。
 昨年12月13日、神戸新聞で大阪国際空港周辺都市対策協議会、11市協を構成する11市に対するアンケート調査で、関西、伊丹、神戸の3空港のあり方をめぐり温度差が浮き彫りになったとの新聞報道がありました。新聞によれば9市から回答があり、2035年に大阪空港を廃止という問いに対しては、伊丹、宝塚、芦屋、川西、豊中の5市が廃止前提の論議には加わらないとの回答、吹田市は存続の立場で議論に参加する、大阪市は評価保留の回答であり、箕面市は試案レベルですぐに賛同できる次元ではないが、一プランとして理解できると評価、池田市は展望なく廃止はあり得ないが検討の余地ありと見解を示し、尼崎市と西宮市は関係機関で協議が必要として回答がなかったというものであります。
 大阪国際空港周辺都市対策協議会は、昭和39年、大阪国際空港騒音対策協議会として8市で発足し、昭和46年に大阪、吹田、芦屋の各市の加盟で現在の11市体制となり、その後、11市協と呼ばれております。平成17年には時代の要請を受けて名称を大阪国際空港周辺都市対策協議会と改め、発足以来会長は伊丹市長が務め、これまで大阪国際空港の運用、あり方に関しての地元の意見を代表するものとして取り扱われてまいりました。
 本来ならば、この1年半の間に11市協として意見を取りまとめ、その意見を発信していくことが必要であったと考えます。しかしながら、この1年半での意見発信は、昨年10月14日の従来からの基幹空港として維持することの要望と、本年に入って国土交通省及び日本航空に対しての安全確保の要請のみであります。
 今のように大阪国際空港の将来のあり方が問われている大切な時期に、11市協の十分な発信ができなかったことが橋下知事の世論形成を容易にし加速させてしまったのではないでしょうか。確かに関空、神戸の2空港ができ、湾岸側の交通網の整備によって産業構造も変化し、加盟市間の温度差が出てきたのは当然のことであります。また、発足時の目的と現在の目的が一部異なってきたことから、その取りまとめには一定の限界が生じてくるのも当然かと思います。しかしながら、11市協の役割は今後も重要であり、6月に出てくる成長戦略会議の内容次第では、存続協定の改正をも迫られてくる可能性があります。したがって、今後、11市協の取りまとめがうまくいかないような事態にでもなれば、結果的に騒音地域を抱えた伊丹、豊中が空港周辺地域の中でも難しい選択を迫られてくる可能性があり得ると考えます。
 先日、民主党、齊藤議員の、11市協の会長として、そして伊丹市長としてどのように対応していくかの質問に対し、市長は、大阪国際空港の最適運用について、今後、市議会並びに市民の皆様方の御意見を十分に踏まえながら、加盟各市とも十分協議し、調査を図り適切に対応していきたいとの伊丹市長の立場からの御答弁をされました。市議会並びに住民の皆様方の意見を聞くということは最も大切なことでありますが、この1年半、これらの機会はなかったように思います。
 また、昨年12月議会の当会派、川井田議員、加藤議員の今後の伊丹空港のあり方に対する質問に対しては、伊丹空港に対しての市長のお考えはお聞かせいただきましたが、その考えを実現するために市長御自身がどのように具体的行動を起こされるかについての御答弁はいただけませんでした。
 先ほども申し上げましたとおり、11市協の会長は発足以来、伊丹市長が務められています。伊丹市長としての立場と11市協会長の立場を藤原市長は持っておられます。今こそ市長の政治手腕を発揮し、リーダーシップをとって伊丹空港活性のために具体的な行動を起こしていただくときであると考えます。
 そこで質問させていただきます。まず11市協の会長として、今後、11市協の足並みをどのように取りまとめていかれるのか、足並みがそろわなければどのようにされるのか、また加盟市間に温度差が出てきた今、空港所在地を中心とした11市協とは別の体制づくりが必要ではないかと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
 そして、伊丹空港を利用している全国の市町村をも巻き込んで、伊丹空港の必要性、活性化を求め、全国的な議論展開をすることが必要と考えますが、市長の見解をお聞かせください。
 次に、昨年3月議会において、私は関空、伊丹空港の一体運営とは関係なく、将来、伊丹空港が経営形態を変更する選択を迫られる可能性があるのではないか、すなわち伊丹空港の民営化について本市のスタンスに関係なく議論される可能性があるかどうかについて質問させていただきました。そして、市長からは、現在のところ具体的にはそうした議論、提案を聞いたことはなく、具体的にはそうした民営化のことを想定しているわけではないとの御答弁をいただいた上で、万一、民営化の議論をなされる場合には、伊丹空港については、これまでも国が環境対策、安全対策に全責任を負うということで存続協定も成り立っており、実際に国が直轄で管理・運営をしている状況、さらには伊丹空港がたどってきたこれまでの経緯など十分に踏まえた慎重な議論を求めていく必要があるのではないかとの御答弁をいただきました。
 私も本市の空港における歴史的経緯、周辺地域の環境安全対策を考えるならば、民営化は今までの本市の立場、主張を全く覆すこととなり、環境安全対策についてもどのように行っていくかなど、事前に解決しなければならない多くの問題点を抱えていることから、当然に本市から民営化と言うことはないし、民営化の議論に当初から積極的に加わることもないと思いますと申し上げました。しかしながら、議論をする必要はありませんが、あらゆる事態を想定し、事前に対応策を検討することは必要ではないでしょうか。
 昨年9月14日、関西3空港懇談会が4年ぶりに会合を行い、12月14日には3空港の一元化管理を目指すことで合意がなされました。しかしながら、本年に入ってからは前原国交大臣は、一元管理は根本的な解決にならないとの見解を示し、成長戦略会議でも関空の有利子負債は成田など既存空港を民営化し、その上場益などで債務を解消し、身軽にして運用すると議論されている旨の報道がなされております。
 私は、昨年の議会でも申し上げましたとおり、現在の世界における空港経営の動向、また、国内において民営化できる可能性のある空港が限られていることから、成長戦略会議の6月の最終報告に上がってこなかったとしても、いずれは民営化について議論される時期が来ると考えております。そして、その議論される時期が3空港独立採算の中で議論されるならまだしも、一元管理が先行し、後に議論がなされ、経営統合されるようなことになれば、伊丹空港周辺地域の意見が全く反映されない事態を招きかねないと考えています。
 昨日、当会派、加藤議員の伊丹空港の民営化についての質問に対し、市長は、国が責任を持って安全、環境には万全を期することを前提とし、関西3空港の最適運用を図るための民営化や関西広域連合のような公的な機関が一元管理を行うことは選択肢としては検討しておく必要があると考えるが、関西国際空港を救済するだけの目的とする容易な民営化は容認できないとの御答弁をされました。確かに6月の成長戦略会議の最終報告でどのような結果が出てくるかわかりませんが、伊丹空港の民営化については、本市にとって非常に大きな問題であり、短期間で対応できるような問題ではありません。したがって、容認できる、できないに関係なく早急に検討の準備に入り、万一に備え事前の対応策を考えていくべき時期に入っていると考えますが、市長の見解をお聞かせください。
 最後に、成長戦略会議での論点として、伊丹空港の一層の活用が上げられております。今後、伊丹空港を取り巻く環境が今までとは大きく変わってくる可能性もあり、大阪国際空港広域レールアクセスの実現については、今後も積極的に取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、本市として今できることは、平成16年11月より導入したJR伊丹駅と空港間のシャトル便の利用者増加であります。しかしながら、行政評価結果報告書によれば、シャトルバスの乗客数は、平成17年収支均衡人員計画値44に対して、平成18年度28名、平成19年度28名、平成20年度20名と減少してきております。
 ここで、先月25日、私のインターン生がJR伊丹駅と空港間のそれぞれ始発から最終までシャトル便30便を含む全104便についての調査を行ってくれましたので、その調査からわかりました傾向を申し上げます。
 まず、利用時間で申しますと、JR伊丹駅から空港までの便では午前中に利用者が多く、午後6時以降は利用者が極端に減少し、空港からJR伊丹駅までの便では午後から利用者が増加し、特に午後4時から午後9時にかけての利用者が極端に多くなり、乗客数が40名を超える便も2便ありました。
 次に、所要時間では、JR伊丹駅−空港間のシャトル便が約17分前後、普通便が約26分前後であり、空港−JR伊丹駅間のシャトル便が約18分前後、普通便が27分前後でありました。
 そして利用者について言えば、JR伊丹駅利用者と阪急伊丹駅利用者がほぼ同数であるということもわかりました。そのほか、利用者は普通便、シャトル便の区別なしに来たバスに乗り込んでいかれる。バス停付近の環境でいえば、JR伊丹駅においてシャトル便を宣伝する広告物はなく、また、空港バスへ誘導する案内板、エレベーターなど関連施設へ誘導する案内板もないなどということもわかりました。
 JR伊丹駅と空港間のシャトル便は、先ほど申し上げましたとおり、レールアクセス実現までの当面の対応策とされる、いわば政策路線であると思います。しかしながら、今回の調査から、利用者はシャトル便、普通便の区別なく到着したバスに乗車されること、また、JR伊丹駅と空港間の利用者は、シャトル便利用者より普通便利用者の方が多いという結果から見ても、利用者にとってシャトル便への関心度は薄く、定期的、安定的便数に対しての関心度が高いということがわかりました。
 今後、利用者の増加を図るためのPR活動を強化する必要はあると思いますが、利用者増加だけで平成20年度営業係数249.11のシャトル便と、営業係数136.95の伊丹空港線の赤字が解消できるものとは思えません。それに政策路線だからといって赤字を出し続けるわけにもいかないと思います。シャトル便のあり方について検討すべき時期かと考えます。また、ほぼ半数を占める阪急伊丹駅を利用する伊丹空港線利用者は、JR伊丹駅利用者がシャトル便と伊丹空港線を利用できるのと違って、伊丹空港線だけしか利用できないという状況の改善も検討すべきかと思います。
 そこで質問させていただきます。JR伊丹駅、阪急伊丹駅と空港間のバス路線は、JR伊丹駅と空港間のシャトルバスといった政策路線と一般市バス路線が併存し、あわせて神津地域の活性化という3つの役割を持っています。一度、各関係部局が集まり検討し、役割を整理すべき時期と考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 次に、シャトル便については、今後、赤字額を下回る補助金を出すなどによって、民間バスへの委託も検討すべきかと考えますが、当局の見解をお聞かせください。さらに今後、3空港のあり方を考えた上でも、伊丹−関空間のリムジンバスの誘致が伊丹市民の各空港への利便性向上にもつながり必要と考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 以上をもって1回目の質問を終わらせていただきます。

市長 藤原保幸
 私からお尋ねいただきました空港問題の中の11市協に関する問題等についてお答え申し上げたいと思いますが、岩城議員におかれましてはこの空港問題、さまざまな観点から真摯に御検討いただき、御提言いただいたことについて、まずもって敬意を表し感謝を申し上げたいと思います。
 さて、11市協についてでありますけれども、この協議会、議員御案内のとおり、昭和39年の6月に、実は伊丹空港にジェット機が就航いたしました。そして、以来、騒音問題が引き起こされたということもありまして、その昭和39年、同年10月に伊丹空港周辺の8市、具体的には大阪府側の豊中、池田、箕面、そして兵庫県側の川西、宝塚、尼崎、西宮、そして本市の加盟によりまして、大阪国際空港騒音対策協議会として発足したところでございます。
 その後、昭和45年2月に伊丹空港で3000メーターの2本目の滑走路、B滑走路が供用開始されまして、大型機も就航したということもあって、航空機騒音が増大いたしました。そういうこともありまして、昭和46年5月に従来の8市に加えて大阪市、吹田市、それに芦屋市が加盟されまして、現在の11市協となったわけでございます。
 そして、激しくなる飛行機騒音による高まります騒音問題に対する反対運動の中、11市協と伊丹調停団が国との交渉窓口となりまして、市議会や市民の皆様とともに運動を進めてきた成果として、昭和49年3月には航空機騒音障害防止法が抜本的に改正されまして、民家や教育施設等の防音工事などが補助対象となったとともに、あわせて現在の空港周辺整備機構が設立されまして、空港周辺対策は大きく進展したところでございます。
 また、発生源対策といたしましても低騒音機材の導入や急上昇方式、あるいは騒音軽減運航方式の徹底なども実施されたところでございます。
 こうした発生源対策や空港周辺対策の進展に伴いまして、平成2年には存続協定ということになりました。そして伊丹空港の周辺環境の改善と住民意識の変化などを踏まえまして、去る平成17年9月には11市協の名称を従来の騒音対策協議会を改めまして、大阪国際空港周辺都市対策協議会と改称したところでございます。
 そして、この改称に伴いまして、11市協の運動方針につきましても安全環境対策に加えまして、空港と周辺地域との調和を図りつつ、地域の活力の向上を視野に入れたものとなったわけでございます。
 しかし、何度も申し上げていることでありますけれども、国が責任を持って安全の確保と環境対策には万全を期すことを求めることが前提になっていることは全く変わりはございません。
 そういうこともありまして、11市協の総会には毎回、遠路東京から国土交通省本省から空港部長が出席していただいてることにも端的にあらわれておりますように、長年にわたりまして11市協が築いてまいりました国との信頼関係と、その実績は何物にもかえがたいものではないかと私は認識しております。
 なお、議員御案内のとおり伊丹市長が代々会長を仰せつかっておりまして、本市が事務局の役割を果たしております。
 そうしたことから、今後とも11市協の役割は大変重要であると考えておりまして、引き続き本空港の存続を前提にいたしまして、かつ活性化に対する対策も含めまして、種々の運動を展開してまいりたいと考えております。
 一方、国におきましては、昨年10月から国土交通省におきまして成長戦略会議が開催されまして、航空分野を初め分野ごとに有識者で議論が交わされておるところでございます。そして、本年6月に取りまとめを行い、平成23年度の予算概算要求に反映させるというふうに仄聞しておるところでもございます。また、あわせて関西3空港懇談会におきましても、国の成長戦略会議の動きを踏まえつつ、近々に意見を取りまとめる予定と聞いておるところでもございます。
 11市協の加盟各市におきましては、こういう動きの中、率直に申し上げまして伊丹空港に対するそれぞれの思い、考えを持っておられますが、その思いを11市協全体として一つに取りまとめていくことが大事かなと。そのために私も強いリーダーシップを発揮して、本空港のあり方を国に発信してまいりたいと考えているところでございます。
 議員から別の体制をつくってはどうかという御提案もちょうだいいたしましたが、仮に新たな団体をつくったといたしましても、本空港に関するいろんな課題があるわけでありますけれども、国がその交渉の当事者として認めて、従前の11市協のように協議できる団体となり得るのかということについては課題が残されているところでもございます。
 そういう面で、今、国の航空行政が大きく変化しようとしている中、関西3空港や伊丹空港のあり方につきまして、地元が一つにまとまることが重要ではなかろうか。そして、これまで長年にわたりまして国がカウンターパートとして認知しております11市協の現在の枠組みをしっかりとこれをまとめて対応していくことが重要ではなかろうかと考えておるところでございます。
 一方、伊丹空港はごらんのとおり国内の基幹空港として全国数多くの都市と路線が結ばれておるところでございます。現在、日本航空の再建問題もございまして、地方路線の維持が大きな課題としてクローズアップされておるところでありますけれども、私は同時に全国民間空港関係市町村協議会、いわゆる全民協の会長も仰せつかっておりまして、国や日本航空に対しまして地方路線の維持などを要望してきたところでもございます。
 以前から申し上げておりますけれども、伊丹空港から長距離路線が関西国際空港にシフトされている政策、これは結果として関西全体の航空需要を冷ましているということとあわせて、北海道でありますとか、沖縄でありますとか、伊丹とつないでいた地域の観光や経済にマイナスとなっておるわけでございます。この事例でもわかりますように、伊丹空港は我々空港周辺都市だけに影響を与えているものではありませんで、航空機で結ばれております全国の各都市のまちづくりにも影響を与えておるものでございます。
 こうした観点から、11市協には以前から全国の各空港所在地やその活性化を考える団体などから航空機の就航などに関して、伊丹と結んでほしい、あるいはもっと強化してほしいといった要望をいただいております。
 具体的には、今年度におきましては福島空港周辺の関係団体から定期便、復便の要望をいただきましたし、釧路空港関係団体からは臨時便運航期間の拡大、これを通年化してほしいといったような要望もただきました。
 そうして、11市協としていただいた、そういった全国各都市の思いを国へ発信してまいったところでもあります。したがいまして、伊丹空港の必要性、有用性については全国の関係市にも認識していただいているものと理解しておるところでございます。引き続きまして、伊丹空港や関西だけにとどまらず、日本全体の問題としてこの問題をとらえ、全民協加盟市に本空港が直面している課題についても理解を進めていただく、そして国に対し伊丹空港のあり方を発信してまいりたいというふうにも考えます。
 今後、11市協並びに全民協の会長といたしましてのリーダーシップを発揮して、伊丹空港存続へのコンセンサスを得るために、本空港とネットワークある空港に係ります市町村を主な対象として、今後とも関西3空港や伊丹空港のあり方についての理解を求める努力を続けてまいりたいと思います。
 次に、伊丹空港の民営化に関するお尋ねにお答えを申し上げます。
 国におきましては、昨年10月から先ほど申し上げました成長戦略会議が開かれておりまして、ここでは将来にわたって持続可能な国づくりを進めるためには、我が国の人材、技術力、観光資源などのすぐれたリソースを有効に活用し、国際競争力を向上させるための成長戦略の確立が焦眉の急となっているという趣旨とされておりまして、各分野の有識者でさまざまな議論が交わされているところでございます。
 その全体の会議の中で、オープンスカイ政策を議論しております航空分野におきまして、その中間論点整理素案が先般、一部で報道されたものでございます。これによりますと、2月5日の成長戦略会議で航空分野のワーキングからの報告があり、その内容が議論されたことが会議後の座長の記者会見において明らかになったとのことでございます。
 これによりますれば、中間論点整理素案では、関西国際空港の経営改善のため、成田空港の株式上場益や伊丹空港の民営化や資産処分による創出資金を活用して、関空の健全な競争環境を担保した上でLCC、格安航空会社でございますが、この誘致や貨物ハブ機能の強化を提案しているということでございます。
 実はこの新聞報道を見まして、その内容を確認したいということで、去る2月15日、大阪国際空港に関する意見交換会が開かれました場で、私から国土交通省の空港部長に直接お尋ねいたしましたところ、これについては航空分野ワーキングの委員が作成した素案の一部であるとのお答えでありました。
 関西国際空港の財務構造を抜本的に改善するための方策の一つとして提案されているわけでありますけれども、国土交通省の空港部長のお言葉では、成長戦略会議は委員が自由に議論する場であり、中間論点整理素案については反対意見の委員もあると、そして会全体としてのコンセンサスを得るまでには至っていない、また、大阪国際空港のフル活用や民営化といったような言葉が言われたわけでありますけれども、その具体的な内容については議論されていないといった旨の回答をいただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、成長政略会議からの報告を受けまして、国として航空政策の最終判断をされる前には我々地元の意見を聞いてもらいたいと、私から国土交通省の空港部長に直接要請いたしましたところ、国土交通省としての方針を決める前に地元の意見を聞かせてほしいといった回答をいただいておるところでございます。
 国の成長戦略会議での中間論点整理素案で民営化が提案されており、資産の売却に伴う手法や上下分離方式、先般も新聞報道されたわけでありますけれども、こういったことが考えられます。
 一方、関西3空港懇談会におきましても、御案内のように一元管理が提案されております。これは上下を分離した運営面の一元化であると理解されているわけでありますけれども、その可能性につきましては、大阪国際空港は国が直轄で管理運営している状況や本空港がたどってきた経緯を十分踏まえた議論をする必要があるものと私考えているところでございます。
 したがいまして、関西3空港懇談会における一元管理につきましても、最適運用を図り、関西全体の航空需要をふやすことで関西全体の発展につながるのであれば、決して否定するものではございませんけれども、昨日も加藤議員にお答え申し上げましたとおり、関西国際空港だけを支援するための安易な民営化であれば容認できないということでございます。
 また、仮に民営化を想定した場合、引き続き国が責任を持って安全の確保と環境対策を実施することをどのように担保するのか、また、地元住民や自治会との協議の場や地元の意向を反映する仕組みなどをどのように確保するのかといったような、私としまして地元自治体としての検討課題は山積しております。また、どのような形態や手法での民営化となるのかは今後の議論を待つことになろうかと思いますけれども、議員御指摘のとおり、想定できる範囲の対応を11市協加盟市と議論していく必要はあると考えております。
 11市協として正式の見解はまだ表明できる段階ではございませんけれども、事務局としては民営化された国際空港という面では成田国際空港の例もありまして、そうした事例について今、勉強しておるところでございます。
 これまでの報道機関の取材等に対しまして、私が直接対応して、11市協の会長としての伊丹市長としての考え方を発信してまいったわけでありますけれども、私は今後数カ月が重要な時期であると認識しておるところでございます。
 そういうことから、今後、国の成長戦略会等の議論を注視しながら、大阪国際空港の運用に関する諸問題に関しまして、11市協加盟市と検討、協議を重ねまして、意見を取りまとめて国に対して今後の本空港のあり方を11市協の会長として、並びに伊丹市長として的確に有効な時点で発信してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
 他の御質問につきましては担当部長に答弁させますので、よろしくお願い申し上げます。

総合政策部長 樋口麻人
 私の方から大阪国際空港広域レールアクセス導入のための暫定対応策としてのバス運行についての数点の御質問にお答えをいたします。
 まず、JR伊丹駅、阪急伊丹駅と空港間のバス路線につきまして、3つの観点から関係部局で検討、役割整理をするべきではないかという点でございますが、平成16年11月より現在の直行便を導入する際には、兵庫県、市の交通局、当時の企画調整室、こういった間で協議を行った経緯がございます。また、最近では、神津まちづくり協議会で地域の活性化について熱心な活動もされておられますことから、これまでも地域の交通問題を含めて、関係部局で検討、協議は行ってまいりました。
 議員御指摘のように、ここ数年での直行便と市バス路線の課題整理や神津地域の活性化に向けての取り組みなど、お互いに関連してまいりますことから、今後さらに関係部局が集まっての役割整理を含む検討を行ってまいりたいと考えております。
 シャトル便について民間バスへの委託を検討すべきではないかという点につきましては、現在、民間のリムジンバス運行会社と当該路線への参入の可能性やその条件等について協議を行っているところであります。加えて、このリムジンバスの導入により新たな利用者の需要喚起という面での効果などについて検討を行っております。今後、精力的に協議を行い方向性を明らかにしてまいりたいと考えております。
 議員みずからが実施されました詳細な調査に基づいてのシャトル便の意義につきましては、特に市外の利用者へのPR性という観点では、直行便は効果があるものと理解をしております。今後、市民の皆様へのさらなるPRに加え、兵庫県とも連携を図る中で、広域的に利用者の見込めるJR福知山線や阪急神戸線沿線など該当駅でのウエブを活用したPR、また工夫したPRが必要であると考えております。
 また、JR伊丹駅周辺の直行便の案内掲示等につきましても、交通局とも連携を図りながら、効果的な案内表示について検討してまいります。
 また、伊丹関空のリムジンバスの誘致でございますが、3空港をつなぐさまざまな交通のアクセスにより利便性を高めることは、3空港全体の航空需要を高めることとなり、関西全体の経済発展につながるものと考えております。
 伊丹市民の各空港への利便性向上のための御提案につきましては、これまでもリムジンバスの運営会社と協議を行っておりますので、運行の可能性について、条件面も含めまして協議を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようお願いを申し上げます。

議員 岩城敏之 
 御答弁いただきました。2回目は、要望と質問とさせていただきます。
 昨年、私は、本市自身も空港の存在価値をしっかり認識し、空港が存在することだけに価値を求めるのではなく、周辺地域の活性化のための何らかの施策を打ち出していかなければならない時期が来ているのではないかと申し上げました。しかしながら、伊丹空港は昨年開港70周年を迎えた歴史もある空港です。空港ができたことによって、本市がどのように変わったのか、空港が存在しなければどうなっていたかなどを知ることはできません。長年の間に空港とともに発展してきた伊丹市にとっては、今この状況こそが活性化しているとも言えるかもしれません。
 もし空港がなくなればどうなるのか、本市には空港の存在を立地要件としている企業が多数あります。もし、これらの企業が伊丹から離れるようなこととなれば、その企業と関連する企業も伊丹を離れ、市内の労働人口が減少する可能性も高くなります。そうなれば加速度的に高齢化が進み、当然に市域の消費も減退し、地価も下落し、結果的に市財政も圧迫しかねない状況になる可能性が高いと思います。
 今、その伊丹空港のあり方が問われ、大きな転換時期を迎えています。報道されている成長戦略会議の中間素案については、私自身も確かに整合性のない部分もあり、意味のわからない部分もあるのも確かではございます。しかしながら、現状の状況は、一方では危機であり、一方では、これは私の私見となりますが、MRJの基幹空港ともなり得る新たな展開が生まれる可能性もあります。今後のかじ取りが10年後、20年後の伊丹市にとって大切な時期であり、刻々と変化する状況に対応していくスピードが求められ、あらゆる手段を考え、あらゆる方向から対応し、持てる力すべてを発揮しないといけない時期に来ていると思っています。にもかかわらず、この1年半、緊張感や緊迫、対応のスピード感を感じず、いら立ちを感じているのは私だけでしょうか。
 市長より11市協について、加盟各市は伊丹空港に対しそれぞれの思いを持っているが、その思いを11市協全体として一つに取りまとめ、強いリーダーシップを発揮し、本空港のあり方を国に発信するとの御答弁をいただきました。そして、11市協は市長が会長を務められ、本市が事務局をも運営しているのですから、その責任は大変重たいものであると思います。各市の思いを一つに取りまとめ、今後予想される事態に対し、11市協会長として市長が本空港のあり方を的確に国に発信していただくことをまず強く要望いたします。
 また、先ほども述べさせていただきましたとおり、11市協の役割は今後も重要であると私も認識しております。しかしながら、万一の事態に備え、伊丹空港の民営化について検討に入るべき時期ではないかという質問に対し、どのような形態や手法での民営化となるかは今後の議論を待つことになるが、想定できる範囲の対応を11市協加盟市と議論していく必要はあると考えているとの御答弁をいただき、民営化を想定した場合、検討課題は山積しているとの御答弁もいただきました。11市協とは別の体制づくりは当然無理としても、今後、民営化に限らず加盟各市の検討課題はそれぞれ違ってくると思います。例えば空港所在地の各加盟市は、その検討課題も多いでしょうし、一方、共通する検討課題も多いと思います。
 11市協は11市協として、検討課題を同一とする加盟市間で共同で検討課題を協議する組織づくりは必要ではないかと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。これは質問とさせていただきます。
 また、伊丹空港は、本来、関西だけの空港ではありません。御答弁いただいたとおり、航空機で結ばれている各都市のまちづくりにも影響を与えてきます。早急に伊丹空港の必要性、活性化を求め、全国的な議論展開に持っていくことを要望いたします。
 JR伊丹駅、阪急伊丹駅と空港間のバス路線についてでありますが、私はシャトルバス、市バスの線を区別をなくし、JR伊丹駅、阪急伊丹駅経由で空港といった、阪急伊丹駅と空港間をシャトルとするバスを例えば20分間隔で1時間に3便を走らせた方が、市外の利用者へのPR、利用者の利便性に対して効果的であると考えます。確かに阪急伊丹駅を経由することによって、当初の政策路線の色彩は薄くなるかもしれません。が、今は伊丹側から空港へ移動する流れを拡大することを考えることが大切なときだと思います。また、私は神津地域の岩屋循環線も政策路線であると思います。JR伊丹駅と空港間のバス台数と神津地区を走るバス台数を考え、運行時間、運行コースを考えていく方が神津地域のニーズに対応でき、地域内を運行するバスの増便などを考えた方が神津地域の活性化につながると考えます。今後さらなる御検討を要望いたします。
 以上をもちまして2回目の質問と要望を終わらせていただきます。

市長 藤原保幸
 空港問題に関します再度の御質問にお答え申し上げます。
 議員からちょっと私の対応が必ずしも十分ではないんじゃないかというような今までの御指摘をいただきましたので、ちょっと私、反省しておるわけでありますけれども、私、余り自分であれやった、これやったというのは好きじゃありませんので、どうもそういう面ではPR不足だったかなあと思います。
 あえて、では申し上げさせていただきますと、私、市政をお預かりしましたのが5年前、平成17年ということになります。そして最初の市長選挙の際から伊丹空港のあり方はそのままでいいのかどうかということについて疑問を感じておりました。そして、最初の市長選挙のときのマニフェストでも伊丹空港を歴史・文化でありますとか、市民力と並んで伊丹の地域資源の一つではないかという位置づけさせていただきまして、伊丹空港を安全騒音対策は絶対の前提でありますけれども、もっと使えるのではないかという視点でいろいろ策を講じてきたところでございます。
 具体的には、平成17年4月に市長に就任させていただきまして、その年に11市協の名称を改めました。従来は騒音対策協議会といいながら活性化の議論をしている、これはいかにもわかりにくいと、そういうことで名称を変更したらどうだろうかということで各市に働きかけさせていただきました。実際には発足の経緯、先ほど申し上げましたように騒音対策から入っておりますので、各市もそういう騒音担当の部局が窓口として入っているところもありまして、なかなか議論が進まないということで、私、直接、慎重論を唱える首長さんにひざ詰め談判いたしまして、これからはもちろん騒音の問題も大事だけれど活用の問題も大事なんだということで、何とか総会でもいろんな議論はありましたけれども、名称変更を認めていただき、17年からは、今、騒音対策協議会という名前残していたら橋下知事に何て言われたかと思うわけでありますけれども、そういう面ではよかったかなあと。
 そして、さらには御案内にように、昭和40年代の騒音問題を背景に、空港の伊丹市は撤去都市宣言というのをやっておりました。実質的には平成2年の存続協定で実質的な意味はなかったわけですけれども、宣言としては残っておったわけであります。これもいかにもちょっとわかりにくいということで、折から多くの市民の方々がそのようにお考えになって請願をいただいたということもありますので、平成19年に共生都市宣言を、いろんな御意見ありましたけれども、させていただいたということでありまして、私なりに今回のこうした橋下発言まで読み切っていたわけではありませんけれども、日本全体の空港政策の流れの中で、世界的なオープンスカイ政策が進む中で、首都圏の問題もありますけれども、関西についても伊丹空港は国際便はだめよとか、そういうのはいかがなものかなあというふうに思っておりましたのが、今般、橋下知事の大きな力、働きかけもありまして、大っぴらに伊丹空港で国際便を飛ばすことの是非が議論されるようになったというのはなかなか感慨深いものがございまして、そういう面では、ある面、私、橋下知事に感謝しておるところもございます。このままいきますと、ことしじゅうには国際便がひょっとしたら飛ぶかなあというような雲行きになってまいりました。
 要は私の発想は、同じ飛ぶんであればどこへ飛んでも音の問題同じでありますから、それならこの周辺の地域の方にとっても、日本全体の未来にとってもいい国際便を使ったらどうか。首都圏でも同じような議論がありまして、今回、ことし10月に羽田空港、名実ともに国際空港ということで、従来は成田に遠慮して羽田は国際便は原則飛ばさないという関係だったのを、前原大臣の発想によりまして大きく転換された。関西もまさに大きく転換して、関西全体のため、日本全体のためを考えて、関西3空港のそれぞれの活用をすべきではないかというふうに思っておるところでございますので御理解賜りたい、また、その方向に向けて、私も11市協の会長としても、いろいろ各種意見があることは正直申し上げてあるわけでありますけれども、対応してまいりたいと思います。
 そして具体にお尋ねいただきました民営化についての対応については、実は内々はそういう面でやっております。特に慎重な市もあるわけでありますけれども、伊丹空港を活用しようということについては、役員5市、池田、豊中、伊丹、川西、宝塚のこれは5市が中心となって11市協を運営しておるわけでありますけれども、この5市につきましては、基本的に将来の廃港についてどう考えるかという微妙な違いはありますけれども、当面、この空港をもっと活用しようということでは一致しておりまして、そういう役員5市を中心に具体の検討をしてまいりたいと思っております。私は以上でございます。

議員 岩城敏之 
 時間がございませんので自席より最後の発言をさせていただきます。
 私自身、昨年の質問の中でも申し上げましたとおり、現在までの伊丹市の対応は歴史的、法令的にも正しかったと思っております。しかしながら、このような橋下知事の急激な変化に対して対応していくということについては、先ほど申し上げましたとおりでございます。
 今後さらなる全面的な伊丹空港の活性化等に向けましての当局の対応を期待するものでございます。以上でございます。
以上

議会質問一覧へ戻る