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  • 第5日6月18日平成21年第4回定例会
  • 「兵庫県新型インフルエンザ対策計画」で、市の実施事項として上げられている事項以外について、今般の新型インフルエンザ対策の経験から、本市の対応を問う。
    • 特定優良賃貸住宅への対応・利用について
    • 市独自に情報発信の為の医師会をはじめとする関係機関との連携について
    • 情報提供内容等について、報道機関と予め検討に入っておくことの必要性について
  • 兵庫県新型インフルエンザ対策に於いて、市の実施事項として、食料品・生活必需品等の住民への提供計画の策定とあるが、提供方法について、現段階に於いてどのように考えているか
    • 機能維持の為の医療機関をはじめとする関係者への感染防止機材配付の必要性について
    • 規格に合ったサージカルマスクの配付について
  • 災害時に於ける自治体の連携について
    • 後方支援という観点からの「大規模災害時の相互応援に関する規程について
    • 自治体間の基金の創設について

以下原文

議員 岩城敏之 
 議長より発言の許可をいただきましたので、発言通告書に基づき質問させていただきます。
 新型インフルエンザの対策については、既に代表質問において各会派より質問も出され、当局からも第2波に備え10月をめどに国、県の方針に従い対策を策定していく旨の御答弁がありました。
 今後、本市は4月27日に県が策定した新型インフルエンザ対策計画で市の実施事項として上げられている事項につき、伊丹市新型インフルエンザ対策計画を策定されていかれることと思います。しかしながら、その策定に当たっては、今回の新型豚インフルエンザの対策から出てきた問題点に対する対応もあわせて検討しながら、策定していくことが必要ではないかと考えます。
 自然災害や事故災害による危機は一般的には一過性のものであり、一定時間の経過により被害地が特定され、被害者も特定されてくることから、危機管理対策としては事前に危機の発生した際の被害を軽減するための対策を講じ、被害発生時には被害者の救援、救助など、発生した危機による被害の増大を軽減することが中心となります。
 これに対して、新型インフルエンザのような感染症による危機は一過性のものではなく、時間の経過とともに被害地が拡大、移動し、被害者も拡大していく可能性が高いことから、危機管理対策としては事前にあらゆる危機状況を想定し、その対応準備を講じ、感染症の事実が確認されたときには、人材、物資、資金を集中投入し、蔓延防止策を適切に講じることにより、被害の拡大を抑止することが中心となります。そして、適切な蔓延防止策がおくれれば、被害は急速に拡大し、危機は増大するという特性があります。
 したがって、新型インフルエンザのような感染症についての危機管理は、通常の危機管理におけるさまざまな対策では対応が困難であり、監視体制を含めた時系列的な観点から、対策を樹立する必要があると言われています。
 また、今回、新型豚インフルエンザの対策において、法律上ほとんどすべての判断、決定権限が県及び国に集中していることから、市独自での判断、決定ができない事態が多く存在していたのではないかと思います。結果として市が直面する個別の事案に対して、対応のおくれが生じる危険性もあり得るのではないかということであります。
 確かに法律上の問題点については当然に本市だけで対応していける問題ではなく、今後、早急に今回の経験を通し出てきた法律上の問題点について、近隣市町村間において協議し、県、国へ要望作業を進められることを強く要望するところであります。
 しかしながら、法律の整備を待っているだけでは、その間に生じる事態に対応できません。私は今後、伊丹市新型インフルエンザ対策計画の策定をしていく上で、本市が独自で直面するかもしれない危機に対して、具体的対策マニュアルも並行して作成する必要があるのではないかと考えます。
 本市には野鳥が3000羽飛来する昆陽池が存在しています。そして、その周辺300メートル以内には市民病院、阪神北広域こども急病センターといった本市の中核医療施設が存在し、対策本部となるべき市役所、消防局、市民のライフラインの1つでもある浄水場が集中して存在しています。
 例えば昆陽池の野鳥から高病原性鳥インフルエンザが発見されたならば、どのように対応するかということであります。既に国内において野鳥から高病原性インフルエンザが検出されています。また、2004年京都府の当時、丹波町の採卵養鶏場で新型鳥インフルエンザが発生した際には、カラスがウイルスを運ぶ可能性が強まりました。そして、今までに発生した高病原性鳥インフルエンザの対策としては、2004年の京都では約20万羽の鶏が殺処分され、本年2月の愛知県豊岡市のウズラ農家で発生が確認された高病原性鳥インフルエンザでは、全国で飼育する3割に相当するウズラ、約160万羽が殺処分されています。
 現在まで野鳥に対する具体的対策事例はありません。万一、昆陽池で野鳥から高病原性鳥インフルエンザが発生すれば、または昆陽池で発生しなくても、全国で野鳥から高病原性鳥インフルエンザが発見されることとなれば、どのように対応するのか。この事態は本市の地理的環境から生じる本市独自の危機でもあります。
 先ほども述べましたとおり、現在の法律、国、県が定める行動計画では個別の危機に対する対応能力は弱く、したがって、対応におくれが生じる危険性が高いのではないかということであります。であるならば、本市が独自で直面するかもしれない具体的な危機について、事前に県、国と対応策について協議し、その対応策を準備しておく必要があるのではないかと考えています。当局の見解をお聞かせください。
 次に、今回の新型豚インフルエンザへの対策を通して出てきた2つ目の問題として、蔓延防止策を講じれば講じるほど市民の不安感が増大し、パニック的状況を生み出す危険性があること、及び風評被害が想像以上に大きく、その被害は個人の人格にまで及ぶ危険性が出てきたのではないかということであります。
 県の新型インフルエンザ対策計画では、住民への情報提供として、第2段階である国内発生早期まで、蔓延防止策に関する情報提供のみを規定し、第3段階である感染拡大期に入って、初めて風評被害の発生防止などを図るため、インフルエンザQ&Aなどを利用し、無用なパニックを起こさないための情報提供をするとされておりますが、市民の方々に対し、安心感を与え、風評被害を極力小さくするためには、できるだけ早い時期に市民の方々が知りたい情報を提供することが大切であると考えます。
 すなわち、情報の内容及び情報を提供するタイミングが大切だということであります。この点についても法律上の問題点はあると思いますが、質問させていただきます。
 まず、正しい情報、市民が求める情報を発信するため、本市独自で前段階である未発生期から、地元医師会、薬剤師会と連携し、また獣医、鳥の生態系に関する機関とネットワークを確保し、専門的な助言を求められる体制づくりが必要であると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 また、兵庫県新型インフルエンザ対策計画では、県の対応として新型インフルエンザ発生に備え、県民に情報提供をする内容について報道機関とあらかじめ検討に入っておくこととされています。一方、市の実施事項としては、市が策定する新型インフルエンザ対策計画において、新型インフルエンザ発生時のメディアなどのへの情報提供を一元化するため、広報担当官の設置となっております。しかしながら、市としても新型インフルエンザ発生に備え、市民に情報提供する内容などについては、報道機関とあらかじめ検討に入っておくことが必要であると考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 ところで、兵庫県新型インフルエンザ対策計画では、市の実施事項として、食料品、生活必需品などの市民への提供計画の策定が上げられております。しかしながら、県の実施事項には坑インフルエンザウイルス薬の県備蓄分の供給規定はあるものの、食料品、生活必需品などの市民への提供に関する事項はありません。
 一方、独居生活者の方、在宅高齢者の方、障害者の方などの要援護者の方々に対して、第3段階の蔓延期における見回り、訪問介護、訪問診療、食料品などの備蓄の提供方法などといった生活支援体制、搬送、死亡時の対応、自治会における互助体制の検討が市の実施事項として上げられているわけですから、食料品、生活必需品などの住民への提供については、第3段階の蔓延期において社会活動が制限され、社会機能が維持できなくなった状況を想定してのことだと思います。
 その場合、外出自粛による高齢者の方々、障害者の方々に対する生活支援と異なり、その対象地域、対象者数は相当大きくなると思いますので、食料品、生活必需品などの提供については、提供のための体制づくり、提供拠点などについて検討する必要があると考えますが、当局として今後どのような提供計画を策定されようとしているのか。現段階において検討されている事項につきお聞かせください。
 次いで、兵庫県新型インフルエンザ対策計画では、第3段階の感染拡大期において、市が主体として実施する事項として、外出自粛により高齢者、障害者の方々でみずから食料、生活必需品の調達ができなくなった方々に対する生活支援や死亡時の対応、そして、救急現場における初期医療機能の維持などが上げられています。
 また、第3段階の蔓延期、すなわち入院措置などによる感染拡大防止効果が十分に得られなくなった状態において、県、医師会など関係団体との連携による新型インフルエンザに罹患し、在宅で療養する方々に対する支援が上げられております。
 本会議においても6月補正予算として、感染者の感染の疑いのある方を搬送する救急隊員への感染を防止するための感染防止資器材の整備費として500万円が計上されています。そのほか、今般の発生状況を受け、新型インフルエンザ対策のための最低限必要とする物品などについて整備する費用として1000万円が計上されております。
 インフルエンザのような感染症に対する危機管理においては、ボランティアを初めとする第三者の協力は余り望めないことから、現有機能をどのように維持、継続するかが大きな問題となります。すなわち新型インフルエンザ対策本部、医療機関、医療関係機関、その他関係機関及び協力者の機能維持をどのようにしていくかが最も大切な問題であるということであります。
 そこで、特に第3段階において、野外で活動する職員の方々、感染者と接触する機会を持つ医療関係者の方々、及び協力していただける地域の方々に対しては、感染防止資材を提供する必要があり、マスクについてはサージカルマスクの規格に合ったN95マスクを準備するなど、救急隊員の方々と同一の体制を整えておくことが必要であると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
 最後に、新型インフルエンザに限らず、災害時において最も大切なのは、後方支援体制の整備であると考えます。阪神・淡路大震災の経験から、単独自治体での対応には限界があることがわかりました。平成7年7月、防災基本計画が改定され、12月には災害対策基本法の一部が改正されました。地方公共団体相互の協力並びに地方公共団体相互応援に関する協定の締結が新たに規定され、それに伴い本市は全国の協定関係市町である17市と平成9年4月1日、大規模災害時の相互応援に関する協定を締結しました。
 本市はこの協定以外に近隣市町と災害応急対策活動の相互応援に関する協定、県との間において兵庫県及び市町相互間の災害時の応援協定を締結していますが、大規模災害時には協定当事者すべてが被災する可能性が高く、したがって、後方支援体制の観点から考えるならば、大規模災害時の相互応援に関する協定は非常に重要であると考えています。
 私は、後方支援対策では物資の調達及び資金の調達の両面から協定の実効性を検討する必要があると考えます。まず、物資の調達面から考えますと、特に災害発生時の早期に必要とする物資については、備蓄及び購入ルートの確保が必要となってきます。
 しかしながら、備蓄量はふやせばふやすほど財政的負担は大きくなり、使用期限による備蓄物資のロスも大きくなってまいります。したがって、備蓄量を大きくしないためには、購入ルートを確保し、早期に必要とする物資が確保できるシステムをつくらなければなりません。
 伊丹市地域防災計画においても購入ルートの確保がなされていますが、今回の豚インフルエンザ発生時には、市内を初め、近隣府県でもマスクが販売店から姿を消しました。製造メーカーが増産に入れるまで約3週間から4週間程度かかるともされています。ネット上ではマスク1枚が1000円を超える価格で取引がなされていました。
 災害範囲が拡大すればするほど、必要とする物資の調達には時間を要することとなります。今後、製造メーカーと直接協定を結ぶことも検討する必要があると考えます。
 しかしながら、いずれにせよ単独自治体ではおのずとその対応にも限界が出てきます。大規模災害時の相互応援に関する協定の市町村間において、備蓄物資を相互に利用できるシステムができたならば、当然に各市町村が用意する備蓄量は特定期間の備蓄で済むわけですから、財政的負担や備蓄によるロスも少なくて済むということであります。
 ここで本市が締結している大規模災害時の相互応援に関する協定の協定市は全国モーターボート競走施行者協議会加盟の市町村であります。そしてここで注意すべきは、協定市は全国モーターボート競走施行者協議会加盟の市町村すべてではないということであります。これは競艇事業が組合、企業団によって運営している市町村も多いため、災害対策基本法で言う地方公共団体に該当せず、協定ができなかったからではないかと考えています。
 また、物資の輸送面から考えた場合も、協定市は北は群馬県の桐生市から、南は佐賀県の唐津市にまで及びます。現実的問題として輸送面を考えた場合、物資の早期調達が可能かどうかということであります。
 そこで、全国民間空港関係市町村協議会加盟市区町村間で大規模災害時の相互応援に関する協定を締結できないかということであります。本市は本協議会において議長を務める市でもあります。また、加盟市町村で大阪国際空港から便がある都市は30を超えます。本市と同一規模の人口を有する市も複数存在します。阪神・淡路大震災時、大阪国際空港は機能を停止することなく、災害に強いと言われる内陸型空港の特性を生かし、緊急支援物資の輸送拠点としての役割を果たしました。
 全国民間空港関係市町村協議会加盟の市区町村間で大規模災害時の相互応援に関する協定を締結することは、別の意味において空港を生かしたまちづくりになると考えます。本市独自ではできることではありませんが、本市が主体となって提案すべきだと考えます。当局の見解をお聞かせください。
 次に、地方自治体間における資金の調達であります。大災害時にはその復旧に多額の費用を要します。また、新型インフルエンザのような長期間にわたり危機状態が継続する場合、その対策に多額の費用を要することが想定されます。いずれにせよ多額の財政出動を必要とし、特に新型インフルエンザのような感染症の場合は、大災害時よりも短期間に多額の出費を必要とし、地方自治体の財政事情を非常に厳しいものとします。
 そこで、全国モーターボート競走施行者協議会加盟の全市町村間で基金または特別会計の創設ができないかということであります。すなわち全国モーターボート競走施行者協議会に対し、加盟自治体、組合、企業団が毎年、基金を拠出し、災害時に備えられないかということであります。例えばですが、39加盟団体が毎年200万円を拠出するだけで、年間7800万円の基金が積み立てられるということであります。
 今後、実効性のある地方自治体間の連携の必要からも、全国モーターボート競走施行者協議会での基金の創設、特別会計の設置などは、先ほどと同じく本市独自ではできることではありませんが、また、社団、財団に関する法律改正が進む中、資金をプールすることが難しい環境にあることも十分わかっておりますが、本市から加盟団体に提案し、何らかの方策を検討していく必要があるのではないかと考えます。当局の見解をお聞かせください。
 以上、1回目の質問を終わらせていただきます。
以上

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