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  • 第3日12月11日平成19年第5回定例会
  • 産業振興政策の方向性及び伊丹版企業誘致制の経過について
  • 法人市民税超過課税について

以下原文

議員 岩城敏之 
 議長より発言の許可をいただきましたので、発言通告書に従いまして質問させていただきます。
 9月議会において、市長が施政方針にて重要施策の一つとして挙げられました伊丹版企業誘致制度について質問させていただきましたが、現在、当局より企業立地促進に関する条例として、その策定作業を進められているとお聞きしております。産業振興に対する積極的な市の姿勢が打ち出され、実効性のある施策となることを期待するところであります。9月議会において、質問の中でも述べさせていただきましたし、一部については答弁もいただきました。現在、伊丹市が独自で処分できる工業用地はないわけですが、民間が所有する工業用地は多く存在します。同様のとらえ方をすれば、既にほぼ全地域において、開発を終えている本市においては、住宅用地や商業用地もないと言えます。しかしながら、住宅用地が増加しているのは、工業用地、農地が住宅用地、商業用地となり、商業用地が住宅用地となっているからであります。そしてこのような住宅用地、商業用地への変更は、時によっては局的な人口増加や、商業施設の集客増加を招き、既存の地域コミュニティーや、安全をも崩す可能性があります。また、特定地域に一定の年齢層だけが増加することは、学校施設を初めとする行政施設の拡充等を、インフラ整備に関連する資質増加を招き、財政面にも影響してくる可能性があります。産業振興政策は、期待される税収効果、域内の雇用確保は当然のこととして、単なる農業、工業、商業のみに限定される施策ではなく、現在、策定作業を進めておられる条例については、市民生活そのものに関係するまちづくりという観点で、総合的に検討された上で、策定される必要があるのではないかと考えます。
 本年6月11日より施行された企業立地促進法では、地域産業活性化協議会が基本計画を作成することとなっております。本市の現状を考えれば、そのまま企業立地促進法に定める協議会を設置し、策定作業を進めることは難しいかもしれませんが、最低限、関係部局が一堂に会して、この策定委員会を開催された上で、策定していく必要があるのではないかと考えます。9月の議会では、一堂に会した検討会については、その必要性について検討していきたいとの答弁をいただいておりますが、改めて条例策定を進めていかれる上で、どのような会議体をもって、どのようなことを検討事項として、どのような過程をもって検討されるかについて説明いただきたいと思います。
 次に、私は条例を定めるだけでは何の意味もなく策定された条例が機能し、実行され実質的な効果を上げていかなければならないと思います。実効性のある条例とするためには、その条例をいかに使っていくかを考えることが大切であります。条例の策定作業と並行して、条例の利用方法を同時に検討していく必要があると考えます。過去、伊丹市が定めていた伊丹市工場誘致条例のときや、現在、近隣市町村が立地促進条例を定めている背景と、現在、伊丹市が置かれている背景とは異なります。したがって、現在の伊丹市では、市独自で処分することができる工業用地はないわけですから、条例をつくるだけでは効果が出ることは、余り期待できません。条例を生きた実効性のあるものとするためには、前回も述べさせていただきましたが、民間と民間の行為に対して、行政がどのようにかかわっていけるかを検討する必要があると考えます。今までのように、民間と民間の行為が完結した後に、許認可等により、規制をかけるといったかかわりではなく、民間と民間の行為の初期段階から、あるいは行政側から先に民間に対して働きかけていく。まちづくりのための誘導ができるかかわりをつくりだしていくかどうかを検討する必要があると考えます。そして、誘導していくためには、情報の収集、管理、提供、分析、利用が必要となることはもちろんのこと、その前提として主体となるべき行政側の対外的信頼性を高めていく必要があると思います。近年、自治体経営という言葉のもと、行政に対し企業的な発想、手法が求められておりますが、行政は決して企業になれないことは当然のことであります。行政が企業と異なった特色をつくりだし、対外的信頼を高めていけるのは、公平性をいかに維持できるかということであります。前回の質問において、公平性を強く求めましたのは、その理由からです。そこで情報の収集、管理、提供だけをするのであれば、公平性の維持だけで問題は済みますが、情報の分析、利用をしなければ、民間と民間の行為にかかわっていけないわけであります。今年度、市長は施政方針において、現状認識と政策目標を共有し、施策ごとに最大限の効率性をもって事業化する、戦略性を持った政策主導型の組織運営を目指すと述べられました。私は現在、策定を進めておられます条例をもとに、組織運営されていかれるには、本来、条例を運用すべき機関の設置が必要であると考えますが、機関設置ができないまでも、専属の部署、または専属の職員配置が必要であると考えます。当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 そして伊丹版という考え方についてであります。前回、市長、都市創造部長、ともに伊丹市の立地の優位性、人材確保の優位性から、伊丹らしさを出すことを伊丹版の根拠としていく旨、答弁をいただきました。しかしながら、私は伊丹市の立地の優位性、人材確保の優位性などは、本来、企業が判断すべき要素であって、PRの材料とはなっても、伊丹版の根拠にならないと考えます。再三述べさせていただきましたが、他市と違い、伊丹市には工業用地として独自に提供することができる土地がないわけです。しかしながら、もともと伊丹市に対する工業用地需要は非常に高いものがあります。にもかかわらず、工業用地が減少し、企業が減少をしているのは、民間取り引きにおいて、工業用地を工業用地として守る施策がなされていなかった点に、工業用地減少の原因の一つがあると思います。私は、伊丹版という考え方について、伊丹市が持つ優位性から考えるのではなく、伊丹市が現在持つ弱点や市内各地の工業用地に存在する問題点を、いかに解決していくべきかを考えるべきであり、その解決する手法を条例に組み込むことこそが、伊丹版としての特色ある立地促進条例になると考えます。例えば、住工混在地が発生する問題点はどこにあるのかということであります。前回、市長も申されましたとおり、本来、伊丹市に対する工業用地需要は高いわけで、にもかかわらず、工業用地が減少しているのは、工業用地所有者がその所有地を工業用地として継続して利用されることに何ら関心を持っていないところに問題の一つがあります。工業用地所有者が、工業用地を工業用地として継続して利用する買い主に売却する場合、売却する側に対して何らかの施策を出せれば、工業用地を工業用地として維持できる可能性が出てくると考えます。
 そのほか、前回も申し上げましたが、神津地域の準工業地域は、そのほとんどが埋蔵文化財埋蔵地域となっております。埋蔵文化財保護手続が一定規模以上の企業の進出を妨げてきた一因としてあります。これら工業用地を持たない伊丹市の弱点、工業用地に関する問題点を解決していくことこそが、伊丹版としての特色ある、実効性のある施策になると考えますが、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、産業振興政策は、本来農業施策を含め、まちづくりそのものであり、市民生活に最終的に直接かかわってくるという立場から質問させていただきました。
 続いて、法人市民税超過課税について質問させていただきます。
 伊丹市は、昭和49年10月より法人市民税の法人均等割、法人税割において、地方団体が通常採用すべき税率として定める標準税率を、財政上その他の必要がある場合には、標準税率を越える税率により課税することができるとする、地方税法第312条第2項、及び同法第314条の4第1項に基づき、均等割においては、法人の資本の額、従業員数に関係なく、標準税率の一律20%の超過課税を、法人割においては標準税率12.3%を14.7%と、ともに認められる最上限に設定し、平成17年度には3億6646万8000円を、平成18年度には4億3418万2000円を、法人市民税超過課税分として徴収しております。私が調べましたところでは、全国の市町村において、平成18年4月1日現在、法人市民税超過課税を実施しているのは、法人均等割で408団体、法人税割で1021団体あり、都道府県においては、道府県民税の法人均等割で17団体、法人税割で46団体、法人事業税で7団体が超過課税を実施しております。伊丹市は、他の市町村と同様、地方税法第3条第1項に基づく条例を市税条例として、市税条例第31条によって、均等割の税率を、第34条の4によって、法人税割の税率を定め、超過課税分を一般会計に組み入れております。しかしながら、超過課税を実施している都道府県においては、超過課税分の使途を地域産業振興促進や、震災対策に利用する目的税として、特別会計として取り扱い、法人税法第3条第1項に基づいて定められた条例の適用期限を5年として、5年ごとに延長する方法によって、超過課税のあり方や使途に対して見直しを行っているのが現状であります。震災を契機に増大した市債の償還、国における三位一体改革の影響により、地方交付税が減額されるなか、財政状況が非常に厳しくなり、伊丹市行財政運営改善計画を進めている現状を把握しつつも、税の本来あるべき姿につき、問題があると考えておりますので、質問させていただきます。
 伊丹市においては、33年間市税条例によって税率を定めるのみで、長期間のうち、超過課税のなされている根拠、及びその使途についても明確であるとは言えない状況になっていると考えます。そこで私は、法人市民税超過課税が行われていることを明確にするためにも、超過課税分を特別会計として計上し、その使途について明確にする必要があると考えますが、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 また、中長期間、長期的な期間を必要とする政策の実行の中で、単年度だけでの評価が難しく一定期間の中で、柔軟性を持ちながら、かつ即応性を求められる側面を持つ政策を実施していくためには、一定範囲において柔軟に対応できる基金を設立し、対応するのが、政策運営をしていく上で効果的な財政運営と考えますが、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、質問5つでございます。これをもちまして私の1回目の質問を終わらしていただきます。
以上

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