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  • 第6日 9月21日平成19年第4回定例会
「伊丹版企業誘致制度」の創設について

以下原文

議員 岩城敏之
 議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして質問させていただきます。
 私にとりましては、4月に議会に送り出していただき、初めての質問となります。伊丹を愛する一人として、そして議員としての責任を十分に自覚し、全力で頑張らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本年度施政方針の中で、産業振興の促進や、空港の利便性を生かした産業の誘導など、民間活力を活用したまちづくりを戦略的に展開する4つの重点施策の一つとして挙げられ、伊丹の活力を高めるため、産業振興ビジョンに基づく戦略的かつ実効性のある産業振興策を推進し、その一つとして、伊丹版企業誘致制度の創設に向け、具体的な検討を行う旨の発言がありました。
 伊丹市においては、事業所は減少傾向にあります。市内産業の空洞化を防止し、活力を創出するためには、内発的な拡大とともに、外部からの活力導入が必要な状況にあります。企業誘致は、財源の確保、地域雇用の創設、産業の集積などが、この効果が認められる以外に、企業誘致策のスピーディーな対応によって、現在伊丹市が抱えている工場の転出による工場地における住工混在地の発生を抑制し、産業土地利用の維持にも大きく寄与し、まちづくりの根幹的施策にもなり得ることから、企業誘致制度の創設に賛成するところであります。その内容、実施方法につきまして、改めて大きな関心を持っております。
 企業誘致については、近年、近隣自治体を初め、全国の自治体において、各施策が施行され、本年6月からの企業立地促進法の施行に伴い、今後より一層の自治体間競争が繰り広げられる環境下において、国、県の各施策動向を見きわめた上で、伊丹市独自の個性を出していく必要があります。そのことから、伊丹版企業誘致制度と発言されたものと理解しております。
 私は、企業を誘致するには、単なる助成金制度を創設するだけでなく、伊丹市が対外的に産業振興に積極的な姿勢を示すということでございます。ひいては、まちづくりの中に産業振興をどのように組み込んでいくかという強い姿勢を、対外的に示すことが必要であると考えております。現に、近年の企業誘致成功事例において、企業側が最も重要視しているのは、行政の姿勢であり、また、最終的にトップセールスができたかどうかが大きなポイントとなっております。行政の姿勢とは、立地後のフォローアップがしっかり行うことができているかどうか、ワンストップサービスの体制ができているかどうかであり、企業誘致制度の創設においては、行政内部の体制づくりも並行していかなければならず、また、トップセールスをするためには、まちづくりの中に産業振興をどのように組み込むかを明確にした上で、トップセールスをするためのきっちりとした法的根拠づけを準備する必要があります。近年、行政のできること、できないことの区別があいまいになっていると思います。行政は万能ではありません。法令、条例等があって、初めて行政ができることに含まれる。対外的に伊丹市の前向きな強い姿勢を示し、トップセールスができる環境を整える上でも、伊丹版企業誘致制度の創設には、条例をもってする必要があると考えております。
 私は、戦略とは、全分野を見渡し、各分野のあり方を決定する、総合的で高次元な意思決定であり、戦い方、または戦う対象の変換を考えるものであると理解しております。そして、戦い方、または戦う対象の変換のためには、どれだけ多くの具体的事例を想定し、その対応方法を検討するかであり、それだけ多岐の分野にわたり、まちづくりにも大きくかかわってくるからこそ、施策方針において戦略と発言されたものと解しておりますが、ここで改めて市長の企業誘致の戦略についてお聞きしたいと思います。
 次に、具体的検討事項として、財源の確保を考える場合でも、単に家屋の固定資産税、都市計画税の増額だけでなく、償却資産、法人住民税の法人税割、そのほか工業用水の利用可能性についても検討し、生産人口の確保という点から、地域雇用の創出には、どのように市内の工業地と住宅地の間に動線を確保するかも検討することが必要であります。伊丹市にとっての企業誘致による効果を、あらゆる側面から検討する、そして産業の集積を検討する場合には、単なるものづくり型の企業として考えるのでなく、どのような産業が伊丹市にとって必要であるか、どのような企業が来れば、既存企業との連携によって、点を面にできるかを検討すべきであると考えます。例えば、神津地域の準工業地域は、そのほとんどが埋蔵文化財埋蔵地域となっております。埋蔵文化財保護手続が一定規模以上の企業の進出を妨げてきた経緯があります。そして、採掘部分が浅くて済む倉庫が多く建ち並んでいるのが現状であり、埋蔵文化財保護のための発掘調査手続をどのように取り扱うか。検討する必要があると思います。また、瑞原の工業系土地は、風致地区に指定されてきており、建てかえ時にグラウンドを移転しなければならない状況にあります。県の都計審の問題ではありますが、その取り扱いについても検討していく必要があると思います。
 そこで企業誘致に当たって、私は今一例を述べましたように、具体的事例の想定と、その対応策の検討が事前に必要であり、条例によって総合的に整理していくべきと考えますが、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、現在までの企業誘致の形態は、行政の所有する土地に民間企業を誘致してくるという単純な形態でありました。企業立地促進法で進める企業誘致も、既存の形態に属する企業誘致をベースにするものと理解しております。伊丹市には、現在企業誘致のできる土地がないのが、表面的な現実であります。しかしながら、三菱電線跡地のイオン問題でも明らかなように、工業用土地が商業用土地として転用され、工業用地が減少しているのも事実であります。そこで、今後のテーマは、民間と民間の行為に対して、いかに行政がかかわっていけるのか、そしてそのかかわり方は、今までの直接的かかわりではなく、どのように民間と民間との行為をまちづくりの施策に誘導していけるかという点が、企業誘致施策にかかわらず、行政のあらゆる施策において検討していく必要があると考えております。行政行為の弱点の一つに、環境変化に対してのスピードある対応ができないという点がありますが、この弱点を補完していくためには、環境変化を想定していく中で、事前に方向性を定め、情報を収集、管理、分析、発信できる体制を整えていく必要があると考えます。しかしながら、一方で情報の収集、管理、発信には、行政側の高度なモラルが求められます。例えば10億円の不動産の売買情報価値は6000万円に相当するケースがあります。したがって、だれが、どのように情報の収集、管理、発信を行うのか、そして、その責任所在を明確にする必要があり、情報の収集には県、国との連携もあわせて、担当機関を設置した上で、会社訪問などによって独自にすべきであり、民間企業からの情報収集は、協会、連合会など、団体を相手方とする制度を組み立てて運用し、あわせてそこに職員の倫理規定も作成する必要があると考えますが、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、3つの質問をさせていただき、質問を終わらせていただきます。
以上

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